1 著作権についての概要


1 著作権についての概要
 
 
☆ 著作権とは
 
著作権とは、知的財産権の一部で、文化的な創作物(=著作物)を保護対象とする、著作物を創作した著作者が持つ権利です。著作物が創作された時点で、「自動的」に著作権が著作者に与えられるので、著作権を得るための手続き等はいっさい不要です
 
☆ 著作物とは
 
文化的な創作物(=著作物)とは、「文芸・学術・美術・音楽などの範囲に属するもので、思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義されています。
 
 
☆ 著作物とは考えられていないもの
 
「アイデア、一般化した言葉、固有名詞、キャッチフレーズ、標語、本やドラマのタイトル、芸人の一発芸」などに著作権があるとは一般的には考えられていません。(キャッチフレーズや標語の中には、感情がこめられているという理由で著作権があるとされた裁判での判決例もあります。)
また、「憲法や法律の文章、裁判の判例文など、その性質上、広く開放して利用されるべきもの」については、著作権法上の保護はありません。
あくまでも、「文芸・学術・美術・音楽などの範囲に属するもので、思想又は感情を創作的に表現したものが著作物です。
 
☆ 著作者とは
 
著作者とは、「著作物を創作した人のこと」です。創作活動を仕事にしていなくても、芸術的価値やうまいへたにかかわらず、文化的な創作物を生み出した人は、すべて著作者となります。幼稚園生が描いた絵も立派な「著作物」であり、絵を描いた幼稚園生は「著作者」となり、「著作権」を自動的に持つことになります。
 
「 具体的な著作物の種類 」
 
☆ 演劇と関係の深い著作物
 
 では、具体的な著作物の種類を確認してみましょう。特に演劇に関係の深いものは太字にしてあります。
 
言語の著作物・・・・小説脚本、詩歌、俳句、講演、論文、作文など
音楽の著作物・・・・楽曲及び楽曲を伴う歌詞
舞踏、無言劇の著作物・・・・日本舞踊、バレエ、ダンス、舞踏、
パントマイムの振り付け
美術の著作物・・・・絵画、版画、彫刻、マンガ、書、舞台装置など
(美術工芸品も含む)
映画の著作物・・・・劇場用映画テレビ映画ビデオソフトゲームソフト
写真の著作物・・・・写真、グラビアなど
建築の著作物・・・・芸術的な建築物(設計図は図形の著作物)
地図、図形の著作物・・・・地図と学術的な図面、図表、模型など
プログラムの著作物・・・・コンピューター・プログラム
 
* 他に、二次的著作物、編集著作物、デ-タ-ベ-スの著作物なども著作物です。
二次的著作物とは、ある著作物(原作)を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化するなどしてできた新たな著作物」で、原作となった著作物とは別の著作物として保護されます。二次的著作物を作る場合は、原作者の許可が必要です。また、二次的著作物を使用する場合は、二次的著作物の著作権者の許可のみならず、原作となる作品の著作権者からの許可も必要となります。
 
以上にあげた著作物を使用する場合には、著作権が消滅している場合や著作権の制限に該当する場合をのぞいて勝手に使用することはできません
 
「 著作隣接権と著作権の種類 」
 
☆ 著作隣接権
 
著作者ではないけれど、「著作物を伝達する者」(俳優、舞踏家、歌手などの実演家や、レコード製作者など)は、「著作隣接権」を持っています。著作権に準じた権利ですが、ここでは詳しい説明をしません。後に必要な箇所のみ説明します。
 
☆ 著作権の種類
 
すでにあげた著作物には、著作者が著作権を持っています。著作権は、大きくわけて2種類あるとされています。
 
「財産権」「著作者人格権」です。
 
簡単にいうと、「財産権」とは、著作者の経済的利益(経済的に損をしないこと)を保護するための権利」です。
 
 
「著作者人格権」とは、「著作者の人格的利益(精神的に傷つけられないこと)を保護するための権利」です。
 
 
 
☆ 財産権とは
 
財産権とは、著作者が自らの著作物を自分の財産と考え、財産的利益(経済的に損をしないこと)を保護するための権利です。
狭い意味で、著作権といえば財産権をさすことが一般的です。
☆ 著作者と著作権者
 
財産権は、土地などの所有権と同様に、その一部又は全部を譲渡したり、相続したりできます。したがって、通常、著作物が創作された時点では、「著作者」(創作者)と著作権者(財産権を持つ人)は同一ですが、財産権が譲渡されたり相続されたりすると、そうした場合の著作権者は著作者ではなく、著作権を譲り受けたり、相続したりした人ということになります。つまり、著作者と著作権者が異なることになる場合があるのです。
著作者とは、著作物を創造した人であり、著作権者とは、「財産権」を持っている人という違いがありますが、この著作権ガイドラインでは、これ以降、著作者の意味も含めて「著作権者」として統一して表記します。
 
☆ 著作権者の許諾権
 
他人が、著作権のある著作物を上演したり、原作として新たな創作物(二次的著作物)をつくり出したりする場合などは、著作権者の財産を使用するわけですから勝手に使用することはできません。上演させてもらったり、原作とさせてもらったりするための著作権者の許可が必要になります。著作権者は、他人に対して、著作物を使用することを認める権利(許諾権)を持っているということです。その際、その許可の対価(条件)として、著作物使用料の支払いを求めることもあるのです。
 
☆ 財産権の種類
 
著作物の使用のしかたには、いろいろな形態があります。その使用の仕方で、さまざまな名称(○○権)がつけられています。財産権の全種類についてはここでは示しませんが、演劇に関係する主なもののみを次に示します。
著作権の世界で、○○権といった場合は、「本人が○○できる権利」という意味ではなく、「他人に無断で○○されない権利」=「使用料などの条件をつけて、他人が○○することを認める権利」とういう意味を持つことが多いです。
 
 
 
上演権・演奏権(無断で公衆に上演・演奏されない権利)
著作物を公衆向けに「上演」(演劇等の場合)したり、「演奏」(音楽等の場合)したりすることに関する著作権者の権利
複製権(無断で複製されない権利)
*手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、どのような方法であれ、著作物を「形あるものに再製する」(コピーする)ことに関する著作権者の権利
 
二次的著作物の創作権(無断で二次的著作物を創作されない権利)
*著作物(原作)を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化などにより、創作的に加工することによって「二次的著作物」を創作することに関する著作権者の権利
 
二次的著作物の利用権(無断で二次的著作物を「利用」されない権利)
*自分の著作物(原作)からつくられた「二次的著作物」をさらに第三者が利用することに関する原作者の権利
→ 原作をもとに二次的著作物がつくられた場合、二次的著作物の著作権者が持つ権利を、原作者も同様に同じ権利を持っているという意味です。
 
☆ 財産権の保護期間
 
著作権には、保護される期間が定められています。著作権のうち財産権の原則保護期間は、著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後50年までです。映画の財産権については、著作物の公表70年後までです。
外国の著作物については、その本国によって保護期間が違ったりしていますが、日本国内で使用する場合は、原則として著作者の死後50年の保護と考えて問題はありません。ただし、第二次世界大戦の戦時加算などの例外があったりしますので、著作物ごとにしっかり調べることが必要です。また、国内外を問わず、著作者がひとりでない場合や法人等の場合もありますので、そうした場合には、保護期間をしっかり調べることが必要になります。著作権が消滅した著作物は、「パブリック・ドメイン(社会の公共財産)」と呼ばれ、自由に利用できるようになります。
 
☆ 財産権の制限
 
財産権では、営利を目的とない上演等(著作権法三十八条)などいくつかの条件のもとであれば著作権が「制限」され、例外的に「著作権」のある著作物を自由に利用できるケースがあります。この点については、高校演劇独自のルールもありますので、詳しいことは、再度説明します。
 
 
「 著作者人格権 」
 
☆ 著作者人格権とは
 
著作者人格権とは、著作者の人格的な利益(精神的に傷つけられないこと)を保護するための権利です。広い意味では、財産権と著作者人格権をあわせて著作権と考えられています。
 
☆ 著作者人格権の種類
 
○同一性保持権
特に重要なのが「同一性保持権」(無断で改変されない権利)です。
「同一性保持権」とは、「自分の著作物の内容または題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利」です。したがって、著作物を利用する他者は、著作物の内容や題号を著作者の許可なしに勝手に改変することはできません
 
○公表権と氏名表示権
著作者人格権には、この他に「公表権」と「氏名表示権」があります。「公表権」とは、まだ公表されていない自分の著作物について、それを公表するかしないかを決めることができる権利です。「氏名表示権」とは、自分の著作物を公表するときに、「著作者名」を表示するかしないか、するとすれば、実名か変名(ペンネーム等)かを決めることができることができる権利)です。
 
☆ 著作者人格権の保護期間
 
著作者人格権は、著作者だけが持っている権利であり、譲渡したり相続したりすることはできません。著作者人格権については、著作者の死亡によって消滅しますが、著作者の死後も一定の範囲で守られることになっています。
一定の範囲とは、「著作者が死亡し、著作者人格権が消滅した場合でも、著作者がもし生きているとしたならば、その著作者人格権の侵害となるべく行為をしてはならない」ということであり、著作者の死後であっても著作者の名誉を著しく傷つけるような利用法はしてはならないという意味です。
 
☆ 著作者人格権の制限
 
この権利には、高校演劇の大会での上演に関係する範囲では、例外はほとんどありません。基本的に許可を得る必要があると思っていて下さい。
 
 
 
「 著作権の制限 」
 
☆ 著作権の制限
 
「著作権の制限」とは、「著作権」が消滅していない著作物であっても、いくつかの場合では、例外的に著作権者から許可をえずに上演・演奏したり、複製したりして利用することが可能になるというものです。例えば、個人で楽しむ場合の音楽の複製は許可がいりませんし、ルールを守ったうえでの「引用」も許可がいらないことになっています。
 すべての例外の事例はここでは述べませんが、高校演劇に最も関連の深い例外が、著作権法三十八条「営利を目的としない上演等です。
無料で公演する場合、次の条件を満たしていれば、著作権法三十八条(営利を目的としない上演等)に該当し「著作権の制限」が適用され、著作権者の許可なしに、「著作物」を上演・演奏することが可能になります。
 
ア・ 「上演」「演奏」「上映」「口述」のいずれかであること
イ・ すでに公表されている著作物であること
ウ・ 営利を目的としていないこと
エ・ 聴衆、観衆から料金等を受けないこと
オ・ 主演者等に対して報酬が支払わないこと
カ・ 慣行がある時は「出所の明示」が必要
 
注1・ ウ「営利を目的としていないこと」では、主催・共催団体に営利企業(新聞社等)が含まれていると適用外となります。
 注2・ エ「聴衆、観客から料金等を受けないこと」では、パンフレットの購入が入場の条件になっている場合は料金を受けたとみなされます。
注3・ カ「慣行がある時は「出所の明示」が必要」では、脚本名、作者名を記すことが、高校演劇では、「慣行」となっています。
 
高校演劇では、無料による公演がその主旨からもふさわしく、ほとんどの大会が無料で行われています。ですから、本来、著作権法第三十八条の条件を満たしている無料公演であれば、著作権者の許可なしに、「脚本」を自由に上演することが可能です。
しかし、この点については、高校演劇独自のルールが定められていますので、著作権のある「既成脚本(潤色・構成含む)」を上演するためには、必ず著作者の許可が必要です。高校演劇独自のルールについては後に説明します。
 
「脚本」については、このような高校演劇独自のルールが定められていますが、無料公演であればそれ以外の著作物の上演、演奏に関しては、基本的に著作権者の許可はいりません。音響効果で使う音楽に関しては、許可を得ないで演奏しているのは、このような著作権の制限が認められているからです。
「 著作権法と著作権の基本的な考え方 」
 
☆ 著作権法
 
 著作権は、著作権法という法律で保護されており、法律に違反すると、民事上では損害賠償などの対象、形事上では、罰則の対象「個人に対しては、10年以下の懲役若しくは1千万円以下の罰金又はその併科(同時に二つ以上の刑を科すること)」
 
となっています。現実的には、よほど悪質な場合を除いては、刑事上の罰則を課せられることはありません。高校演劇ではほとんど考えらない(盗作などの場合はあり得る)といって良いでしょう。
ただし、著作権法では、親告罪とされる原則が定められているので、違法行為の被害者である著作権者の「告訴」があって、はじめて「犯罪かどうか」が問われることを意味します。著作権者によって、「著作権を侵害」されたかどうかの感じ方はいろいろであり、明確な基準を示すことはほぼ不可能です。
著作者本人が「この程度は著作権を侵害とならない」と考えているにも関わらず、他者が「これは犯罪だ」と決めつける行為は慎むことが必要です。著作権法が「親告罪」を原則としている意味は大きいと思えます。
これまでに注意・喚起がなされていないような事例(このガイドラインで示されていないような事例)で問題が発生した時、性急な判断を下すことには慎重さが必要です。過去におきた上演記録から抹消された事例などは、一般的に見ても悪質なケースでしたが、最近ではこれで審査対象外にされてしまうのかというような事例もでてきています。お互いをしばりあうような「著作権」の扱い方は、本来の著作権の基本的な考え方からはずれてしまうのではないでしょうか。
 
ただし、「引用の明記」など親告罪でない条文に違反すると、それだけで明示義務違反となりますので、「引用」に関しては特段の注意が必要です。
 
☆ 著作権の理解
 
著作権法では基本的に「親告罪」が原則ですが、だからといって「訴えられなければ何をしても良い」という誤った考え方はすべきではありません。著作権の内容を良く理解して法律を守り、違反のないように努めることは、高校演劇にかかわる私たちの責務です。
もしも、著作権に違反していると著作権者から訴えられて、裁判所の判断により損害賠償をかせられることもないとは言い切れません。こうしたケースがおこってしまうと、個人や学校への負担は大きく、高校演劇全体の信用も著しく失墜してしまいます。
 
また、法的な問題とは直接関係ありませんが、上演許可をとらずに大会に参加しようとしたため上演が認められなかった事例や、上演後に著作権者から指摘があり、著作権を侵害している可能性が高いとして上演記録から抹消された事例などもあります。法的な罰則を受けない場合でも、このように高校演劇協議会内部の自主規制的な措置が過去に取られたこともあります。
こうした対象になってしまうと、楽しいはずの部活動がとても後味の悪いものになってしまいます。著作権を守ることは自分たちを守ることにもなるのです。
 
 これまでは、「著作権」の考え方の話が中心で理解しづらい箇所もあったかと思います。これ以降は、具体的な話になっていきますので、違反ととられるような行為が生じないようにして下さい。
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