3 その他の著作権について

3   その他の著作権について
 
①「 音楽の著作権について 」
 
☆ 無料公演における音楽著作権の自由利用
 
音響効果さや舞台上で演奏や歌唱する場合、著作権のある楽曲を使用する場合、基本的には、著作権者から演奏の許可を得ることが定められています。
しかし、無料公演で、非営利目的の上演の条件を満たしている場合、著作権の制限の対象となり、著作権者の許可なく利用が可能となります。
脚本については、改変する必要が生じる場合がほとんどなので、非営利目的の上演であっても、必ず許可を取るという高校演劇独自のルールを定めていますが、音楽に関しては、改変する必要が生じない場合が多いため、法律の規定に従い自由に利用して良いことになっています。(無料公演で、非営利目的の上演を満たしている場合に限る)
ただし、楽曲を改変する場合は別の許可が必要になります。非営利目的の条件を満たした公演であっても、「著作者人格権」は制限されないので、改変の許可が必要になってきます。楽曲を全く改変せずにそのまま使用する場合は、著作権者や著作隣接権を持っている人の許可なく利用できます。
 
☆ 有料公演を行う場合の音楽著作権
 
独自に有料公演を行う場合などは、使用許可を取ることになりますし、利用料を支払うことが必要になります。
音楽の著作権に関しては、著作権者管理団体である「JASRAC(ジャスラック)=音楽著作権協会」が著作権者にかわって許可を代行したり、著作権使用料を受け取ったりしています。有料公演を行う場合は、その地域担当のJASRAC(音楽著作権協会)支部へ連絡して、細かい条件等を説明して、JASRAC(音楽著作権協会)支部の指示に従って下さい。ただし、最近は音楽著作権協会に著作権の管理を任せていない著作権者の方も増えていますので、使用する楽曲の著作権の許可が誰から得られるのか調べる必要も生じてきます。
 
☆ 楽曲を改変して利用する場合
 
楽曲をそのまま利用せず、歌詞をかえたり編曲したりするなど楽曲を改変する場合は、「著作者人格権」にかかわってきますので、改変の許可が必要です。
どこまでが、楽曲の改変にあたるかどうかの判断は難しいものがあります。使用する側では判断がつきませんので、少しでも改変する場合は、やはり著作権者に確認して改変の許可を得て下さい
☆ 著作隣接権
 
著作権法では、著作物の創作者を保護するとともに、著作物を公衆に伝達するために重要な役割をはたしている実演家(歌手・俳優など)、レコード製作者、放送業者及び有線放送事業者について一定の保護を与えています。
 
歌手は楽曲を創作したわけではありませんが、歌手の歌い方で受け取る側の印象が異なるように、歌手も著作物を創作に準ずる行為をしていると考えられています。こうした準創作的な行為に対して著作権法では、「著作隣接権」として保護しています。歌手のような実演家だけでなく、レコード製作者や放送業者などにもこの権利は認められています。
著作隣接権には、著作権と同様に「財産権」と「著作者人格権」があり、例えば販売されているCDを営利目的(レンタルなど)で使用する場合には、著作権者だけでなく著作隣接権を持っている方の許可も必要になるのです。
ただし、著作隣接権も非営利目的の公演等では、「著作権の制限」が認められています。ですから、楽曲を改変せず音源をそのまま利用する場合には、著作隣接権もかかわってきませんので、自由に利用することができるのです。
 
ただし、楽曲を改変する場合には、非営利目的の条件を満たした公演であっても、「著作者人格権」は制限されないので、著作隣接権についても改変の許可が必要になってきます。ですから、楽曲を改変する場合には、作曲者(歌詞がある場合には作詞者含む)などの著作者だけでなく、著作隣接権を持っている方たちの許可も合わせて必要になります。だれが著作隣接権を持っているかをきちんと調べ、すべての方から許可をとる必要があります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
②「 その他の著作物についての著作権 」
 
☆ その他の著作物
 
脚本や音楽以外にも、演劇に関する様々な著作物が著作権の対象となることはすでに述べてきました。
こうした著作物には、基本的に無料公演で非営利目的の上演等の条件を満たしているのであれば、著作権の制限の対象となり、自由に上演・演奏することが可能です。
ただし、注意が必要な点は、あくまでも著作権が制限されるのは、「上演権や演奏権」に関してのみであり、財産権のうち「複製権」や「二次的著作物の創作権」などは制限されません。必ず許可を取ることが必要になります。
また、著作権者が持っているもうひとつの権利である「著作者人格権」は、無料公演のケースでも制限されることはなく、必ず著作者の許可を取ることが必要になります。その他の著作物については、特に「複製」、「改変」に関しては必ず許可を取る必要があります。
(もちろん有料公演であれば、上演・演奏に関しても許可が必要となります。)
 
特に注意する必要がある「舞台美術・小道具」、「ダンス・振り付け等」についてさらに注意点を述べていきます。
 
☆ 舞台美術・小道具についての著作権
 
舞台美術や小道具にキャラクターのある人形(ミッキーマウスなど)や絵画を利用する場合、市販されている製品をそのまま使用する限り問題はありません。ただし、そうしたキャラクターや絵画を「複製する場合」には、必ず著作権者の許可を得て下さい。
小道具として自分たちでキャラクター人形を製作したり、セットに著作権のある絵画などを描いたりする場合は、それにあたります。
 
☆ ダンス・振り付け等についての著作権
 
ダンス・振り付け等にも著作権がありますが、そのまま改変せず踊る場合には許可は特に必要ありませんが、一部でもアレンジ(改変)したりする場合は、必ず著作権者の許可が必要です。
 
 
 
 
 
③「 著作権についての質問 」
 
☆ 著作権相談室について
 
著作権について簡単な説明をしてきましたが、わかりずらかったり判断が難しかったりする場合も多々あると思います。そのような時には、次に紹介する「著作権相談室」へ連絡して相談してみて下さい。「どなたからの相談にも、無償で応じています」とのことですので、安心して電話してみて下さい。
 
      著作権相談室についてのご案内
 
社団法人著作権情報センターでは、著作権思想普及事業の一環として、著作権に関する相談業務を行っています。著作権に関することなら、どなたからのご相談にも、無償で応じていますので、どうぞご利用ください。 ( ただし、当分の間著作権法が定める権利あるいは債権・債務関係に関し紛争があり又は紛争が生じる可能性のある具体的事案についてはご相談に応じかねますので、あらかじめご了承ください。)
 
         < 著 作 権 相 談 室 相 談 要 領 >
 
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