今年度青森県で開催される第二十九回全国高等学校総合文化祭は、七月二十七日から三十一日までの五日間、二十三の部門に分かれて、全国から集まった高校生が青森県内各会場で、日頃の文化活動の成果を発表することになっています。
今回の青森大会のテーマは「青春の夢 青い森かけめぐり 文化の虹ときらめいて」です。青い森ー青森県に集まった全国の若い夢が一つになり、七色に煌
めく虹として光り輝くーそれが高校生の文化、青森県にふさわしいテーマだと思います。
今大会の開催基本方針として「挑戦」「発信」「友好」を掲げ、これまで全県挙げて取り組んできました。今大会の特徴は、何といっても生徒実行委員会を組織して、企画・運営に生徒が主体的・積極的に関わっていることです。また、イベントプロに委託せず、生徒・教員が一体となって「手作り」を目指したことにあります。演劇部門の発表でもその良さは随所に見て取ることが出来ると思います。
総合開会式は三部構成になっておりますが、第三部「交歓会」では、本県生徒による舞台発表として、本県出身の太宰治の代表作『走れメロス』を現代風にアレンジした『新・走れメロス』を上演します。これは本県演劇部生徒達が昨年から何度も練習を重ねた結果の集大成です。青森県高校生の新しい試みに「挑戦」するパワーが感じ取れるはずです。どうぞご期待下さい。
さて、演劇部門は八戸市で開催されますが、八戸市は人口二十五万六千人、江戸時代の思想家、安藤昌益や芥川賞作家・三浦哲郎ゆかりの地で古くから優
れた魚業施設を有する全国屈指の水産都市として、また、昭和三十九年の新産業都市指定後は北東北随一の工業都市として着実に発展を遂げている青森県南の中核都市であります。さらに、是川遺跡を始めとする豊かな歴史的文化的遺産、太平洋に面した海岸は海猫の繁殖地として知られる蕪島を初めとした風光明媚で豊かな自然環境に恵まれています。さらに、近くの三沢市には演劇、短歌、映画など多彩な才能を発揮した寺山修司記念館もあります。もし、時間にゆとりがあるのでしたら、立ち寄ってみたらいかがでしょうか。
ところで、演劇の全国大会開催は本県では二度目であり、二度とも八戸市で開催となりました。一度目は全国高総文がまだ誕生していなかった昭和五十一年、全国高校演劇協議会が主催する最後の大会でした。八戸市の海岸に群れ飛ぶ海猫の名を冠し、「うみねこ大会」と銘打った大会は青森県高校演劇に携わる者にとって非常に思い出多い、印象深い大会でした。あれからほぼ、三十年が経過しました。その当時、大会運営に携わった二十歳台の若者だった教師は、今五十代のベテラン教師となりましたが、今なお演劇への情熱を持ち続け、今回の全国大会でも裏方として全国の演劇生徒のために精力的に走り回ってくださるに違いありません。若い生徒と共に‥‥。
本県高校演劇を省みますと昭和四十七年、八戸北高校『じんばい』の全国大会出場以来、十三度の全国大会出場、全国大会最優秀賞を四度も獲得するなど、目覚ましいものがあります。特に昭和四十七年、全国大会で八戸北高校が『かげの砦』で最優秀賞を獲得したのを初めとして、三年連続全国大会最優秀賞獲得をした輝かしい実績を持っております。そのような実績と経験を持つ本校高校演劇に関わる教師・生徒が、今、二度目の全国大会の演劇創造に向けてその力を結集しており、その成功に向けて頑張っています。
それぞれの演劇を携えて青森県八戸市に集まって来る地区代表十一校の高校生、演劇を観るために全国からそして県内から集まってくる高校生、この大会運営のために力を合わせて準備をし、大会を陰から支える高校生ー演劇をこよなく愛する高校生が集う祭典には、どんなドラマが展開されるのでしょうか。
きっとこれまでと同じように、いや、それ以上に若さと情熱に満ちた、そして創造性豊かな舞台が繰り広げられると確信しています。特に各地区を駆け上がってきた十一の学校の演劇部はおそらくこの大会に向けて日々の練習の厳しさと創造の苦しみに向き合ってきたことと思います。発表ではこれまでの成果を思う存分出し切り、若いエネルギーと情熱が迸る舞台となることを期待します。
本県高文連には「北の翼」という高文連の歌があります。その歌詞の最後に「北の翼は 希望と勇気 そして友情の翼」とあります。
七月二十九日からの三日間、北国に集う若者たちが、新しい表現を獲得することで未来への希望と勇気を育み、全国の仲間と確かめ合った友情の歓喜が青い森にこだますることを心から楽しみにしています。
結びにあたりまして、本大会の開催にあたり、各方面より多大なるご支援・ご協力を賜りましたことを深く感謝申し上げ、歓迎の言葉と致します。
(第51回青森大会会長 青森県高等学校文化連盟演劇部部長 青森県立黒石高等学校長)