都道府県だより
秋 田 県

秋田県より

奥山 重美

一.ご 挨 拶

 今年度より事務局長を務めさせて頂くことになりました奥山と申します。私よりはるかに長く高校演劇のためにがんばっていらっしゃる顧問の先生方を前に恐縮な気持ちでいっぱいですが、これからの秋田県の高校演劇活動に一石を投じることができれば幸いです。という矢先、全国紙の原稿依頼に「やっぱりこの仕事はたいへんだなぁ」と改めて思い知らされているところですが、差しあたって秋田県の現状からお伝えしようと思います。

二.現 状

 秋田県は平成18年度現在36校の加盟校があります。他県に比べて少ない加盟校数である上に各校あたりの部員数も減少しつつある状況です。とうとう部員がいなくなり休部せざるを得ない学校も出始めました。が、一方で新しく演劇

部を立ち上げ着実に成長している学校も現れました。やる気のある顧問、生徒の出現は頼もしい限りです。

 一つの傾向として、中学校での演劇経験者が、高校でも続けるケースが少ないということがあります。そもそも演劇部がある中学校も少ないわけですが、せっかく舞台を経験している生徒がいるにもかかわらず確保できないという状況があります。もちろん私も手を変え品を変え、声をかけているのですが、腕が悪いのか、顔が悪いのか、熱がこもればこもるほど相手は逃げていくといった感じです。

 思えば、私自身、中学校の演劇部活動はどういうものなのか、その実態をきちんと把握していないという反省はあります。地区で合同の発表会を催し、あとは文化祭等での発表ということらしいのですが、実際に出向いたことがありません。自校の部活動指導が第一ではありますが、と同時に如何に中学生を育て、高校でも継続させることができるかということも高校演劇を存続させる大事な課題のように思います。中学校側と高校側の発表会、コンクール、ワークショップ等の情報をお互い共有し、ともに刺激を与えあう必要がこれ

からは重要になるのではないでしょうか。

三.活 動

 秋田県は5地区にブロック分けされており、それぞれ発表会1回、コンクール1回を基本に上演を行い、そのほか地区によっては自主公演、学校単独の新歓・卒業公演も行っています。講習会に関しては地区独自に開催されることも多く、会館や劇場スタッフのご厚意に支えられ活動しています。全県規模のワークショップは年2回開催されますが、特に8月上旬のものは1泊2日で実施しています。昨年度は残念ながら50名程度の参加者にとどまりましたが、演技部門と脚本創作部門に分かれ、各々が学びたいことにじっくり取り組みました。しかし、もっと参加者が集まればさらに多くの部門が設置でき、より高度に、よりキメ細やかな手当てができるはずです。現在、学校側としての事情(補習・学習合宿等)との競合もあるわけですが、高演協のこうした取り組みを定例行事として認められ、もっと生徒も参加しやすいものに進化させていきたいと考えています。

四.これからの課題

 最近『見巧者(みごうしゃ)』という言葉を耳にしました。古典芸能の言葉で、もともと上手ないい役者を『巧者』と呼ぶのに対し、逆に芝居を観て評価し、演じる側を上手に育てる目の肥えた観客を『見巧者』と呼ぶのだそうです。振り返れば生徒に対したくさんのお芝居を観ることも勉強だとは言いつつも、結局舞台に立つための技術を教えることに重きを置き、『演劇の観方』という面はおろそかにしていたような気がします。

 これからは生徒も講評委員として他校の舞台を評価する時代になりつつあります。生徒を見巧者に育てることは、生徒自身が実際舞台を創っていく上での糧となり、また、よりレベルの高い舞台に繋がるものだと思います。そのためにもまずは何から…、我々顧問自身がもっと勉強しなければ…。

※ とはいえ、純粋に演劇を楽 しむ観方も忘れないようにし たいものです。

   (事務局長)

茨 城 県

とある事務局長の
きわめて個人的な思い出

龍崎由美子

 この原稿依頼をいただいた時はまさしく「茨城の事務局長」だった私ですが、これが発行され皆様のお手元に届いている頃には、この職務を後任者に譲り、おそらく縁側で渋茶を啜っているのではないかと思われます。…多少希望的観測もまじえておりますが。

 思えば、まだ初々しい新人教員だった頃、演劇部の頼まれ顧問(雇われマダムみたいなもんです)を成り行きで引き受けたのが全ての始まりでした。もちろん演劇なん

て未経験。しかし、大会に顔を出すたびに、何かしらのハプニングを起こしながらも楽しげに右往左往する生徒達や、「今年の大会も終わった〜」と一人祝杯を挙げるビールの美味しさ。また、演劇に係わる他校の生徒達、先生達の元気の良さ。そんなものに惹かれて、気がつけば事務局員として大会運営のお手伝いをするようになっていました。今から思えばそれが地

獄の一丁目だったわけです。

 あれから幾星霜、いつのまにか「事務局長」という仕事を仰せつかり、「私がチョウ〜?(語尾上げ)」と目を丸くしている間もなく、文書を発行し、会議を運営し、県大会を終了させ、関東大会へ顔を出す…という生活が始まりました。それまでは、事務局員として名を連ねていると言っても、まったくの受け身の立場に身を置いて、関東大会を見学に行ったこともない有様。そんな私が事務局長となり、「ヒョェ〜?」と奇声をあげてながらも何とか務めあげることができたのは、同じ県の先生方の力強いサポートのおかげと思っております。

 平成16年度・17年度と二年に渡り、茨城の事務局長を務めさせていただいたわけですが、一番の思い出に残っているのは、第29回全国総文祭青森大会において、茨城県立友部高校が茨城県にとって「ハジメテの全国大会出場」という快挙を成し遂げたことでしょうか。

 最初の県内地区大会での公民館ような小さなステージの上から始まったお芝居が、県大会、関東大会、そして八戸の全国大会へとすすみ、最後に東京の国立劇場のあの大きなステージで3人の役者さんがのびのびと演じていた時には、心からの感動が沸き上がって来たとともに、実はポワンと(スゴロクの)「あがり」という文字が大きく脳裏に浮かんだことをこの場で告白させていただきます。

 さらに「仕事」にかこつけて、あちらこちらに出かけていくことができたのも楽しい思い出でした。関東大会関係では、長野、東京、山梨、埼玉、全国関係では、台風直撃の徳島、そして八戸、と、夫を放置してヘラヘラとでかけました。長野のワイン、八戸の郷土料理、と、どこへ行っても楽しくお酒を飲める自分の体質に心から感謝したものです。八戸ではホテルの傍の小さな郷土料理屋に三日連続で通い詰めたのも今となっては良い思い出です。

 現在、どこの先生方も以前にはなかった職務を求められるようになったり、校外に出にくい環境等も相まって、誰しも言葉に表せない多忙感を抱えながら仕事をしているのではないでしょうか。私自身も、毎日の学校の中だけでてんやわんやの状態なのに「ちゃんとできるのか」と不安に包まれながらの事務局長就任でしたが、今振り返って見れば、物事の視点が新たに開け、出会った方々からいろいろな元気を分けてもらえたようにも思えます。これからは事務局長という職務を離れましても、関東大会、全国大会などにもぜひ見に行きたいと考えております。

(前・茨城県演劇連盟事務局長)

 

静 岡 県

伊豆、駿河、遠江

渡 邉  強

 伊豆東端から愛知県境まで東西約155km、東西南北に広がる本県は東海道新幹線の停車駅も熱海、三島、新富士、静岡、掛川、浜松の6駅を数える。近世、家康が将軍職を退き大御所として隠居した駿河、二宮尊徳により飢饉を乗越え栄えた遠州・遠江、名泉を抱え文豪等の憩いの地であった伊豆。明治期、廃藩置県によりこれらの地域が静岡県として統合されたが、現在でも各々の地域が各々独立した文化・風土、気質を持ち、同じ県でありながら全く違った風情を見せているのが静岡である。

【大変な県である】
 現在静岡県高文連演劇専門部は東部演劇協議会、中部演劇協議会、西部演劇連盟の三組織で構成されており、各々が独自の活動を行っている。冒頭述べた様に各地区が各々の意識・文化・考え方を持っているため、高文連の組織に限らずひとつに纏まるのは非常に難しいのが現状である。

 県大会(県高校演劇研究大会)までの地区大会は、西部地区では10月に3会場で各校が都合の良い日程に合わせ参加する形式を取っており、同様に東部地区では10月に三島・田方、沼津・駿東、富士・富士宮の3地区の会場に各地区の学校が参加して行われている。この東部・西部それぞれの大会で推薦された各6校および中部からのオブザーバー1校を加え、13校により県大会が構成されている。  さて中部地区であるが、多くの高校が演劇に優劣の価値判断を与えるものではないという観点から、大会ではコンクール制を採っておらず、6月に静岡市民文化会館など3会場で発表会形式で公演を行っている。中部地区高校は県大会またはそれ以上の大会参加への意思がないため、今まで関東演劇協議会などへの加盟もしていない。そのため静岡県の場合、関東大会に出場する高校は東部、西部地区の高校で行われていた。さらに複雑なことに、高文連主催の高文祭(高等学校総合文化祭)は、中部地区に高文連事務局が置かれる年度は県大会とは別枠、別時期に行われるため、非常に煩雑かつ不統一の観がある。

 と言うところまでが今までの大会であるが、一昨年より中部地区の高校の中でもコンクールによって県大会に出場し、更には関東大会に出場したいと言う高校が出てきたのである。そのため試験的に、平成16年度から中部では中部高校演劇研究会と言う団体名を別枠に組織し、関東演劇協議会に加盟し県大会に参加することとなった訳である。17年度は参加校数も更に3倍近くなり、今後の静岡県の活動に嬉しい知らせである。今年度は更に参加校が増えることが期待でき、中部地区の高校から関東大会へ推薦されることも夢ではなくなってきた。

【こんなこともやっている】
 大会以外の活動としては、高校生創作劇脚本コンクールが掲げられる。高校生の創作と表現の意欲を高め、豊かな表現力を育成し高校演劇の振興を図ることを目的に、毎年県内の高校生から創作脚本を募っている。審査員は県内外の演劇関係者、劇作家、演出家など多岐に渡り来年度で13回を数える。今年度応募作品は63作品で、最優秀賞は関東大会にも出場した浜松北高校の作品であり、大会で発表された優秀な作品も多く出品されている。また優秀作品は「高校生創作劇脚本集」に掲載され、この脚本集は県内各校に配布される。

 その他、東部では夏期に日本工学院専門学校などから講師を招き講習会を開催、発声、身体トレーニングから舞台作りまで広く芝居作りの基礎基本が学べる場として好評である。西部でも同様の講習会が開かれている。鈴木忠志のSPAC(静岡県舞台技術センター)の活動拠点であるグランシップでは、昨年度辺りから一般対象に会場の利用を広げ高校生の演劇発表会も催されている。

【やらまいか】
 1996年第31回関東大会で浜松海の星高校が「風愁―遠い約束―」で全国大会に推薦され、全国で最優秀に選ばれてから早十年。久しく全国の声も聞こえなくなってしまった。

 金に困ると遠州(浜松)人は強盗、駿河(静岡)人は乞食、伊豆人は詐欺をすると言われるように、同じ県民でも気質の異なる輩だが呉越同舟、仲良く頑張って行きたいものである。

(静岡県高等学校演劇協議会事務局長)

三 重 県

三重の高校演劇五十年

樋口 卓也

 三重の高校演劇の活動は、昨二〇〇五年をもって五十年を迎えました。振り返れば、五十年前、県内高校演劇部の研究・指導組織として「三重県高校演劇研究会」が発足し、一回目の「合同発表会」をわずか二校の参加で開催したことにはじまり、以後「発表会」→「大会」は四九回を数え、多くの熱心な顧問の指導の下で、演劇に夢中になった何千人もの生徒たちが巣立っていきました。その間、演劇連盟のあゆみは決して平坦なものではなく、幾多の試練に直面してその都度立ち往生しながらも、それぞれの顧問が、生徒たちの必死に汗して芝居を創りつづける姿に勇気づけられ、元気付づられて、この試練を乗り越えてきました。

 連盟発足当初、二校の参加でスタートした夏の県大会は、回を重ねるたびに出場校が増え、現在では三十校を越える学校が大会の舞台を踏むようになりました。はじめは、上演するだけで終わっていた大会のスタイルも、運営を生徒たち自身の手でおこなう実行委員会組織が組まれ、さらには、上演される劇から学習するという視点を取り入れた生徒講評委員会も活動するようになり、教育活動としての高校演劇がクローズアップされていきました。これは他の文化部の部門には見られない演劇部門独自の誇るべきコンセプトです。「劇を上演し、観賞し、劇から何かを学び、みんなで協力し合って大会を運営する」という中部ブロック方式の伝統のポリシーは、三重でも脈々と受けつがれて現在に至っています。大きな財産です。

 五十年の長い歴史の中でも、三重から全国大会に出場できたのは、一九八〇年、一九九五年、二〇〇三年、のたった三回しかありません。ブロック大会出場校一七校の中で、「第一位」を射止めるのは至難の業で、残念ながら、全国出場のレベルからは少し離れているのが三重県なのかも知れません。しかし、芝居づくりに燃える「こころ」は、他のどこにも負けない自負があります。それは、芝居を自分たちの力でゼロから創り上げたい熱意が、手づくりの創作劇主流の形をつくっているからです。少し背伸びしてでも創作劇に挑戦したいエネルギーを、それぞれのクラブに感じることができます。ブロック大会出場校も、ここ五年だけをとってみても、創作脚本が十校中九校にものぼり、良質の創作劇が育ってきていることが実証されています。

 現在、少子化の影響からか? 泥臭くて地道な芝居づくりを敬遠する昨今の高校生の気質からか? 年々の大会出場校の減少は、三重でも深刻さを増しています。部員数不足で、大会に出場するのがやっとというクラブももはや例外ではなくなってきました。上演にたどりつくまでの苦労は往年と大きく様変わりしたというのが正直なところです。それを思えば、これまでの五十年のあゆみ以上に、これから先は「いばら道」が予想されます。しかし、貴重な教育活動としての演劇の持つ力は無限であることを思えば、私たち顧問の肩にズシリとのしかかる責任は、とても大きなものがあります。だからこそ、このきびしい「今」に立ち向かい、生徒たちとともにすすんでいかなければなりません。「ピンチをチャンスに!」これを合言葉に、来たるべき二〇〇九年の全国三重大会に向けての準備をすすめていきます。

 最後に、三重の主な年間の活動を付記します。

1.舞台創造講習会(六月)
 演劇部員全員が集い、各パートに分かれて講習を受けます。

2.各地区演劇大会(七月下旬)
 三つの地区に分かれておこなう大会です。

3.県大会(八月上旬)
 各地区から選抜された十一校が上演します。

4.みえ高文祭・演劇部門大会(十月下旬)
 公募による二校が上演します。

5.みえ県民文化祭(一月)
 県大会の優秀校が上演します。

6.各地区春季大会(三月下旬)


 
(前・三重県高校演劇連盟委員長)

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