寄稿
「京都方式」による生徒講評委員会活動

長 尾  修

 生徒講評委員会は試行を含め、京都大会で3回目であり、まだ試行錯誤の過程と言えるだろう。

 「すべての劇を見て、全員で議論する。(講評文作成については決定していないように思う)」という定式化は京都方式が提示された後の全国理事会で確認されたが、ここでは京都方式での生徒講評委員会活動の試みと合評会とについてまとめ、今後の活動に資したい。

 「まったりした」京都方式と呼ばれているようなスタイルをとることになった契機は時間と健康管理の問題だった。

全国各地から4泊5日の缶詰状態で、傾向の違う劇を1日4・5本見て消化すること自体が精神的に疲れる作業である上、食事も惜しんで討論し、深夜に及ぶまで講評文を書く。「もっと深く話したかった」という感想にあるように、一つの劇の討論に割く時間も短く未消化に終わる懸念がある。

そこで次のスタイルにした。

1.2グループに分け、交互に劇を観賞し、次の上演の時間を討論と講評文作成にあてる。

2.教員が最初から班に入り、講評文完成まで指導助言をする。

3.討論内容を書き出せば講評文となるワークシートを用いる。

4.睡眠時間確保のため講評速報は出さずHPにあげる。

5.上演校に挨拶をし、顔つなぎと合評会での報告依頼をする。

6.夜は交流の時間とし、先生方にも研修会に参加していただく。

 生徒講評委員会を持続可能なものにするためには最低限の内容基準を文章化、明確化した上で各地方の実情に任せることであろう。それぞれの地方がそれぞれの方法で行うのがよいと考える。


◆1 (グループ分割)について

 今回の方法について、「すべての劇が見られない」という点で大きな批判をあびたことは事実である。講評文を担当した班の3人と担当の2人の先生は、劇の次の上演は討論・文書作成中のため見られない。理論上それは11本中2本である。

 懸念するのは12本上演で幕間が20分になる島根大会以降で、すべての上演を見ると幕間に議論している時間は10分しかない。2グループに割った9人と先生でも時間が限られるのに、18人では1回りもしない。

◆2 (教員の指導)について

 話し合いの初めから班に2人ずつの先生方に入っていただき、9人のグループの話し合いの際にも自身の意見を述べていただいた。複数の教員が意見を述べたことは、一つの芝居を見てもさまざまな意見があることを示し、生徒たちが多角的な視野を持つことができたと思う。多くの意見が聞けてよかった反面、複数教員の意見ということで、情報量が多くなり考えがまとめにくい面もあった。

 教員の発言が聞けたことも含め、生徒1人ひとりに発言の時間が十分にあったことがよかった。話が劇の全体や細部にわたってなされたことも、それぞれが意見を言うだけの時間が保障されているという安心感があったからこその成果である。

◆3 (講評文の作成)について

 3人ずつのグループが劇の講評文の作成と合評会の発表を担当した。「枠組みと粗筋」、「胸に響いた箇所とみどころ(テーマの追求ではない)」 「装置・音響・照明など」の項目を書きこむシートを用意して、話し合いの際に議論がまんべんなくできたかチェックし、そこに書き込んでいくことで講評文ができあがるようにした。

◆NHKの放送出演について

 今年度、BS2で放送される上演校の紹介を講評委員が行うことになった。この依頼が直前であったため、出演について保護者の承諾書をとるという連絡がぎりぎりになってしまった。とにかくすべての上演校の分を録画するが、使われないものもあるということだった。劇の担当者3人のうち、1人がインタビューに答える形で、劇と劇の合間をぬって行われた。これが入ったので、担当班には「ゆとり」はなかった。

 担当生徒は、テレビのインタビューを受けるということで緊張していたが、たとえ映らなくともよい経験になったのではないだろうか。映らなくて悔しがっている人もいるかもしれないが。

◆4 (講評文HP)について

 議論はできても、それを論理的に文章化するという作業は難しかったようだ。ことばにするとどこか自分たちの思いと違っているように感じたり、ことばを選ぶということにも苦労していた。

 宿舎では交流を中心として、公式の活動は入れないという方針だった。が、講評文作成のための部屋を10時までは確保していた。自習として1〜2時間、文章作成にほとんどの班が取り組んでいた。班の先生方も交代でご助言をいただいた。講評文は一日遅れで、全国事務局の中島先生にお渡ししてアップしていただいた。

◆5 (合評会)について

     第五分科会参照

◆6 (生徒の交流)について

 せっかく遠いところから来てもらったのだから、八幡を案内したい。そんな思いから1日目に岩清水八幡宮にハイキングをした。かなり暑い日だったので、これで疲れさせたかもしれない。広い場所でゲームをして交流をするようにしたが、この時点であまりノリはよくなかった。

 おみやげ交流会も企画していたが時間の関係で割愛した。「おもしろいものを持ってきてもらいたい」と言っていたので、わざわざ紹介のことばも考えてきてくれた生徒もいたのにと反省している。が、休憩時間に全国のおみやげを食べながら、全国大会に来た実感を持てたのではないか。宿舎や部屋での交流にも役に立った。

 2日目の朝、班およびチームに分かれて、あることばからポーズをつくるというゲームをした。意外な一面を見せてくれる生徒もいて交流に役立った。このようなことをもっとしたかったのだが。

 バーベキューもそれぞれ焼き方や食べっぷりに個性が出て交流に役立った。花火は夏の日の思い出になっただろうか。

 宿舎が男女に分かれての大部屋だったこともあり、日を追うごとに親しくなっていったようだ。

◆7 (参加と費用)について

 各地から生徒講評委員を選出するという作業がかなり難航したように思う。誰をどう選ぶのかは各ブロックによって違うが、なかなか決まらないブロックがあった。また、選出された後も学校との交渉が難しいケースもあったように聞いている。付き添いの先生と生徒が同じ学校である場合が多かったが、その学校の先生が来られない時にその府県から先生が来られる場合と京都府で引き受ける場合があった。

 生徒の旅費や宿泊費については学校の事情や各府県の事情によって違っている。生徒講評委員という立場についての認識がさまざまであり、京都府の中でも学校によって対応が違っている。今回は京都府の連盟が費用面でかなりバックアップした。全体にも行き届かないながら、少しでも負担を減らすように昼の弁当代は京都の連盟で負担した。

 事前研修を減らして去年より1日少ない日程になっているため、宿泊費は抑えられている。今後、費用の面でも少しでも生徒や顧問が参加しやすいような方策を考えていく必要があると思われる。

(京都府立久御山高校)

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