都道府県便り
岩 手 県
高校生カルチャーキャンプ
事業について
山田 壮一

 岩手県教育委員会が主催し、県高校文化連盟、および演劇を始めとする各専門部に事業を委託している「高校生カルチャーキャンプ事業」について触れます。

 この事業は1999年(平成11年)より「高校生の文化活動の技量を向上させるため、文化部に所属する生徒を対象とした技術講習会を開催するとともに、全国的に優れた活動をしている団体を招聘し研修を深める」趣旨で行われているものです。演劇専門部では、専門性の高い外部講師を招いて開催する「技術講習会」と、全国的に優れた活動をしている団体・指導者を招聘し、実践活動の鑑賞・合同練習・合同発表・交流会等を行う「団体招聘」の2部門を開催しています。

 今年の技術講習会では、ワークショップ(4クラス)・装置・照明・音響・創作脚本に加え、生徒講評・メイクの10部門を開催し、33校3百数十名の参加で行われました。開催部門が多くなり、学びの豊かさが出てきました。ただし、部門によって人数制限をかけた結果、それ以外の部門に人数が集まり、深めきれなかった点が出てきています。また「部員数が少ないので、全部の部門に出られない」という声も寄せられ、今後の検討課題となりました。

 一方、招聘部門は全国・東北で活躍が顕著な高校演劇部を招き、県内高校と共に上演するものです。招聘校の負担にならないよう、経費は主催者の県教委が持ちます。実際のところ、県教委から各専門部に示される予算は毎年変わり、その中で招聘校を検討する現実があります。

 例年は全国大会・東北大会が終わってから出演の打診をし、OKをもらったところに来てもらいます。ここ数年は招聘先の顧問にも(主としてワークショップの)技術講習をお願いし、招聘校・参加者の関係がより密接になるよう試みています。

 さて、カルチャーキャンプについて「予算に見合った成果はあるのか?」という問いを受けます。もちろん「Yes!」。全国(東北)大会最優秀直近(もしくは直後)の演劇部を招いて、それを演じてもらうのです。優れた脚本・演出・スタッフワークなどを生きた教材として学び、参加した各校が「自分のもの」にして大会に出場する学校が年々増えてきています。もっともわかりやすい効果「岩手の学校が東北大会を突破し、全国大会へ出場」するのも、すぐそこまで来ているのも事実です。

 前事務局長が言っていました。「東北6県の顧問で、今一番元気なのは岩手かもしれない」と。生徒のために脚本を書く顧問が増え、技術講習では生徒に混ざって操作を覚えたいという顧問も珍しくなくなりました。「内輪でPRしても高校演劇に注目する人は増えない」という声に耳を傾けつつ、なお一歩前に出る(だろう)岩手の高校演劇を、今後も支えていこうと思います。

(岩手県高等学校文化連盟演劇専門部
 岩手県高等学校演劇協議会
事務局長)

 

埼 玉 県
事務局長って…素敵?
五十嵐秀行

 昨年度から事務局長の仕事をしている五十嵐(いからし)です。どんな仕事でも楽しい面とイヤな面があります。昨年を振り返りながら事務局長って『素敵』な仕事なのか考えてみたいと思います。

一.出 張 

 まず年度初めの四月、京都に行きました。以前、県の事務局長もされた水野先生がお住まいになっており、会議後雨の京都を散策しました。楽しかったです、自費でなければ…。学校では旅費は出してもらえず、県の連盟としては地区発表会などにそのほとんどが使われるため派遣費はありません。(昨年度決算は残額がびっくりするような小額です)ちょっと妻の目が厳しい出張(?)でした。

 そのほか、高文連の関係も含めてやはり出張回数が多いです。先日、校長さんから「一部の先生から『五十嵐さんは外に行くばかりで、困る』という話があったが、それに負けずにがんばってください」という励ましだかなんだかわからないお言葉をいただきました。やっぱり『素敵な』仕事ですよね。なんにせよ、校外の違った空気に触れることは楽しいことです。京都総文で初めて全国大会の舞台を観劇できたのも、事務局長ならではでしょう。

 また一月の新潟、横浜もよい舞台ばかりで本当に勉強になりました。結婚して子どもができて、なかなか自由に芝居を見に行けなくなってました。関東・全国はレベルの高い舞台を見られるよい機会になりました。

 やっぱり『素敵な』仕事ですね、事務局長は。

二.脚本審査に審査員依頼

 事務局では四月に事務局会議を行い、一年の流れの確認と総会の準備、地区発表会の段取りなどを始めていきます。が、やはり地区発表会に向けての準備が一番大きいでしょう。特に「脚本審査会」は、近年その重要度が増していると感じます。

 七月下旬に各地区で一〜二名出してもいる常任委員の先生方と事務局で「脚本審査会」という会議を持ちます。ここで各地区から地区発表会参加申込書、上演脚本などを提出してもらいます。そしてその集まった脚本を数冊ずつ分担して読みます。主に差別表現や著作権侵害がないかの確認が目的です。参加申込書には、題名はもちろんキャスト数や既成・創作・潤色などの区別、創作であれば参考資料や図書の有無、既成であれば上演許可書の写しをつけてもらっています。手間がかかり煩雑な作業ですが、昨今の著作権問題を聞くにつけ、この作業の重要性を再認識しています。ここで問題や不備があった際には常任委員を通して改善などをお願いしていきます。

 というわけで、昼休みも入れて二時間程度で三〜四冊の脚本を読みます。生徒創作あり、顧問創作あり、流行のネットからの脚本ありと大変ですが、普段じっくり脚本と向き合う時間が取れないので『素敵な』時間となります。

 地区審査員の人選・依頼も事務局の仕事です。埼玉の地区発表会では審査員として県内の現役顧問一名と、プロ審査員一名の二名でお願いしています。県内は十一地区に分かれており、原則二地区で一ブロックを編成し(一ブロックのみ三地区)一ブロックから二校を中央発表会(県大会)に推薦してもらいます。この審査員依頼が難航しました。自分の学校の練習に加え、校務分掌、文化祭、面談などで、週末が基本とはいえ、どの学校もなかなか出にくくなっています。審査員打ち合わせ会の数日前にやっと決定する状態でした。

 各地区の発表会本番は主に各地区の地元ホールなどです。最近は自治体が減免対象から高校演劇をはずしてくることも増えています。そこで大学の講堂をお借りする地区も増えてきました。上演終了後は審査員による講評をいただいています。上演校数とホール使用時間の関係で十分な時間を取れない地区もありますが、どの審査員にもていねいな講評をいただいています。また中央発表会プログラムには、各地区の寸評を書いていただいています。特に同ブロックで組んだ地区の様子は、顧問・生徒とも気になるようで、とても参考になっています。

三.課 題 

 県内の地区内の校数不均衡については前々から議論がありました。昨年は今までの中央発表会の出場校十一校枠を十校にしていくことに決まりました。ここも様々な紆余曲折がありましたが、二〇〇八年度から実施です。今年度はその選出方法(ブロック編成や組み合わせ方など)の検討になります。各校の利害が大きくかかわるので、調整は楽ではありません。しかしここ数年(十数年?)の懸案を片付ける時期に事務局長なんて『素敵』ですよね。財政も楽ではなく、代表校削減もその一つです。財政再建なんていうと大げさですが、なんとか県内の演劇連盟通信くらいは発行再開したいものです。(予算不足で停止中…)

四.やっぱり『素敵』 ですよね

 全国を旅して、芝居を見て、夜は飲み(!?)、劇場の人たちと仲良くなれる仕事。なんでなり手がいないのか不思議です。前事務局長(塩野先生)が十年もやったのはやはり『素敵な』仕事で辞めたくなかったからでしょう。全県的に若手顧問は不足していますが、四〜五年後には次世代の『素敵な』事務局長が現れることでしょう。そこまで楽しく仕事をしていこうと思います。

 私個人の雑駁な感想になってしまいましたが、埼玉県の様子がちょっとでも見えたようなら幸いです。

(埼玉県高等学校演劇連盟
事務局長)

長 野 県
信濃の国は…
瀬 田  晃

 長野県は南北に長く、広い。そこで、地勢的、文化的に区割りがされている。

北信濃(ホクシン・長野市周辺)

東信濃(トウシン・上田や佐久)

中信濃(チュウシン・松本周辺)

南信濃(ナンシン・諏訪〜飯田)

 南信は更に諏訪・上伊那・下伊那と分かれ県内の地区大会は六つの会場で行われている。

 地区事務局は持ち回り、それを纏める県の事務局も二年交替での四地区持ち回り。県の大会も回ってゆくし、五年に一度長野県に回ってくる、北関東ブロック大会でさえも、各地区持ち回りで会場を探し、夫々の地区の先生方が力を合わせて運営してゆくシステムがとられている。

 会場が固定しない不便さはあるが、運営に関しては、どこの地区に行っても関東大会は実施できるレベルを維持している。

 当然中核を担う先生は居られるわけで、何年かごとの異動に関しては、結構情報交換をして気を使う。

 運営担当地区の演劇部員がレベルの高い大会の舞台を間近に見ることで刺激され、翌年へのモチベーションアップに繋がっていることは間違いない。 

 地理的特性から全県一緒の顧問研修・生徒の演劇講習ができないマイナスを前記のような形で補って来た。

 しかし、これも逆に考えれば、地域の特性や顧問の方針で、ある意味、地域対決が起こっているのも長野県の高校演劇が多様な姿を見せている要因にもなっている。

 オーソドックスなもの、社会派、現代的なものと様々な舞台が見られ、県大会の審査員の先生からは、「長野県の芝居は面白い。」と言われる。

 地区内での活発な芝居の路線対決も有り、顧問が他地区の大会講師に呼ばれて行く時は、「あそこの地区は行きたくない。」「大丈夫、骨は拾ってやるから。」と送り出されるのである。

 顧問研修や講習が高校演劇に携わる者たちをやる気にさせている。

 さて、ここで長野県の高校演劇の歴史を簡単に振り返らせていただく。

 一九八五年の第二十回関東大会から関東高校演劇協議会に加盟。

 九五年(三十回)で野沢北高が関東代表で全国大会へ。全国でも最優秀を受賞。

 その後、長野日大高の元気高校生モノがあり、田川高の坂手作品で関東の壁を破る挑戦が続く。

 二〇〇四年(三十九回)『南京の早春賦』翌〇五年(四十回)も松本深志高の社会性の高い重厚な作品で話題を呼ぶ。

 こうして纏めていると、十年単位で画期的な作品が生まれてきたことが見える。更なる十年と言わず、五年・三年と周期を早めて、関東大会を越える舞台を作り上げるのが、今の長野県の課題である。

 次を見据えた若い顧問世代も育ってきている。前記の地区内、他地区との切磋琢磨が若い顧問を育てている。

 御多分に漏れず長野県も若手教員の採用は多くは無い。しかし、そのような中で演劇部顧問として関わってくれた若い先生を大事にしてゆきたい思いで、中堅ベテラン顧問は活動している。

 生徒減に伴っての、高校演劇に関わる生徒の減少は目に見える形でのしかかってくる。

 地区大会の発表会を統合してゆくことも考えてゆかねばならない。

 今年度の長野県高校演劇連盟への加盟校は五十九校。生徒数は四七〇人程である。 

 地区ごとに中学校との連携や小学生との連携・または訪問公演等を模索して減少を防ぐ手立てを考え実行し始めている。

 少なくとも何らかの形を結ぶ努力をしてゆかねばならない。

部員減少とともに頭の痛い思いをしているのが、地方自治体の予算削減による公共ホールの減免が無くなって行く事だ。

 教育関係、学生生徒児童が使うならばとかなりの額の減免があったのに、指定管理者制度導入とともに、勤務校のある長野市は、減免制度自体を予算が無いからと止めてしまった。

 県立高校の我々は納得できるとしても、市立の中学・小学生の催しも(或いは吹奏楽練習も)全く減免は効かず、大人と同じ料金を払っている。

 文化芸術の育つ環境が又々お寒くなってしまった。

他の文化部の専門部とも歩調を合わせて、この部分については見直し、制度復活をどこの自治体に対しても依頼をしてゆきたい。

 全国総文祭開催は他人事のようであった長野県ではあるが、全て回った最後二○一八年にやってくるようだと議題にも上がるようになった。

 これから十年、何本全国大会に出てゆける芝居を創り上げてゆけるか。勝負の時間を突きつけられている。

 (長野県高校演劇連盟理事長
松代高校)

愛 媛 県
大人になった
愛媛の高校演劇
常川あゆみ

《 愛媛の高校演劇の足跡 》

 愛媛県で第一回高等学校総合文化祭が開催されたのは昭和六十二年のことでした。それから二十年、演劇後進県と言われた愛媛の演劇も昨年で第二十回を迎え、やっと大人の仲間入りができました。参加校も一回目は七校でしたが、最近は二十校を越えるようになりました。

 その二十年の中で、なんといっても川之江高校の全国大会二連覇は愛媛県として胸を張れる快挙でした。その後も四国大会の常連校として、全国大会出場を虎視眈々と狙っております。何よりも演劇を愛し、演劇に最上の幸せを感じている横川先生と川高演劇部員に乾杯!

それから、平成十六年度から劇団四季の自由劇場で開催されている春のフェスティバルに、三年連続四国地区代表として愛媛県の高校が出場させて頂きました。

出場高校は 

 平成十六年度 松山東雲高校

  「同級生」 石原哲也作

 平成十七年度 松山南高校

  「渡部!」 羽衣一樹作

 平成十八年度 川之江高校

  「花柄マリー」 越智 優作

 費用の点では各学校の負担ということで大変だったと思いますが、参加した顧問の先生方も生徒達も劇団四季のスタッフの方々の熱心な御指導や最高の施設設備に大感激の春休みでした。

《演劇専門部の年間行事 》

○ 七月 四国演劇祭並びに第一回夏季講習会(四国中央市)

四国四県の代表校が四国中央市の川之江会館に集まり、上演を行います。川之江高校が全国で最優秀を受賞した時から始まり、今年で八回目を迎えます。

○ 八月 第二回夏期講習会
 愛媛県下の演劇部員と顧問が集まり、ワークショップ、照明・音響効果の実技指導、著作権の指導等を実施しています。

○ 八月 地区大会(中予・南予)

○ 九月 地区大会(東予)
 愛媛県を三つの地区に分け、地区大会を実施しています。

《 現状と問題点 》

現在の加盟校は二十二校と四国四県の中では一番多いのですが、数校を除き、部員数名という高校が多いのが実状です。三年生が引退すると、もう活動ができないということで、今年は大会に出られないという学校も出てきています。

部員減の他に、指導者の問題もあります。演劇部の顧問はどうも敬遠されがちで、言葉は悪いのですが「居着かない……。」初めて演劇部の顧問になったという先生方も多く、活動は専ら部員主体で行っている学校が多いようです。 しかし、川之江高校の横川先生は、平成六年に愛媛で開催された全国大会で、石原哲也作「俺たちの甲子園」を観て感動したのが、高校演劇の魅力に取り憑かれたきっかけと聞いています。はじめは何もわからなくても、要はやる気です。

 全国大会は、地元で開催されないと、なかなか観る機会はありません。しかし、四国大会は全国にもひけをとらないレベルの高さを誇っています。できるだけ多くの学校に参加してもらい、さらに講習会等を充実させることで、第二第三の横川先生の出現を期待しています。

さて、愛媛大会の特色として、創作脚本(特に生徒)が多いということがあります。(愛媛だけではないのかもしれませんが……。)昨年を例にとりますと、二十校中十六校、一昨年は二十二校中十三校が生徒創作でした。高校生の目線でとらえたテーマで描いた、なかなかいい作品もあるのですが、自己満足に陥っている未熟な作品も多く見られます。愛媛の高校演劇の重鎮酒井稔先生(松山東雲高校)がいつも言われていることですが、良い作品を書くには、良い脚本をたくさん読むことが必要です。良い作品をたくさん読み、良い劇をたくさん観て、質の向上を目指していかねばなりません。やっと大人になった愛媛の演劇。これからは中身の充実に取り組み、立派な大人になるつもりです。もう演劇後進県なんて言わせません。

  (愛媛県高等学校文化連盟
演劇専門部長)

福 岡 県
福岡県高校演劇のいま
立山 浩文

 福岡県の高校演劇大会が県高文連総合文化祭の一部門大会として開催されるようになって二十年以上が経過しました。二〇〇一年には全国高総文祭が福岡県で開催されましたが、演劇部門全国大会はもとより総合開会式においても当時の演劇部の生徒たちが中心的に活躍してくれました。しかしながら、この全国高総文祭を境として、福岡県高校演劇はいくつかの課題につきあたっています。

 福岡県は、福岡地区・北九州地区・筑豊地区・筑後地区の四地区ごとの運営体制が以前から作られており、各地区大会を経て県大会出場校が選出されます。実は今、各地区ともその運営が非常に厳しくなってきています。その最大の原因は、生徒数減による学校統廃合の進行です。全国高総文祭が開催された頃には一〇〇校を超える加盟校があり、地区大会参加校もほぼ一〇〇校近くあったものが、現在加盟校数は約八〇校、地区大会参加校は六〇校ほどに激減しました。

 最も状況が厳しいのが筑豊地区で、加盟校の減少もさることながら地区大会出場校が一〇校を下回る状況が数年続いており、回復の見通しはたっていません。かつて全国大会で活躍した学校が、閉校あるいは演劇部が活動していないなどの状況となっています。百万都市北九州市を抱える北九州地区においてさえ、地区大会出場校はピーク時の三分の二あまりになってしまいました。筑後地区は、加盟校数は減少したものの、それに対する地区大会出場校数の減少は比較的小さく食い止められています。ただ、顧問審査員制度をとっている筑後地区大会では、講師となる顧問の確保が難しくなってきています。福岡地区では他三地区のような統廃合の動きは見られないのですが、やはり部員数の減少の影響がみられます。二会場・二週の分割開催を行うため、一会場あたりの運営にあたる生徒が少なくなり苦労しています。また、二会場を確保することと会場使用料・人件費等の増加も頭の痛いところです。

 各地区のこうした状況は、全体的な高校生の数の減少によるということもあるのですが、生徒の意識の多様化等により部活動をする生徒、特に文化部に所属する生徒の数が減少してきていることも原因と思われます。演劇部はあるのだけれど、部員がほとんどまたはまったくいないために地区大会参加を見送る学校が毎年数校はあります。また、参加する学校も多くは芝居が成立するぎりぎりの部員数しかいないため、上演と大会運営の両立の負担は大きくなっています。昨年度の県大会出場作品でも、京都大会に出場した福翔高校の廃部寸前の演劇部を舞台にした「Episode56」はこのような現状を象徴しています。そして、「ガラス玉」で九州大会にも出場した小倉高校は、まさに部員はキャストだけともいえる状況でがんばりました。

 しかしながら、各地区ともこうした状況にただ頭を抱えているわけではありません。北九州地区では、数年前に開館した北九州芸術劇場との連携で、次世代の演劇人を育成するためのワークショップや複数の高校による素材上演の取り組みも行われています。こうした取り組みは、もちろん演劇部生徒の技術や創造力の向上を目指したものではありますが、それとともに指導者たる顧問の育成の場でもあります。筑後地区においても、サザンクス筑後のホールスタッフや九州大谷短大の先生方や地元劇団員を講師として夏期ゼミを開催していますが、同時に希望者による宿泊研修も実施して学校の垣根を越えた交流を深めています。このような会館との地道な連携の成果だと思いますが、昨年度のサザンクス筑後で開催された県大会では観客の入りが四年前にくらべ大幅に増えました。これを地区の活力につなぐことができればと期待しています。筑豊地区は、学校数・生徒数こそ少ないものの、すべての演劇部員が兄弟姉妹のように親しく夏期ゼミで交流し、地区を運営しています。地元劇団関係者や水害から復興した嘉穂劇場がかれらの活動を暖かく支えてくださり、人情味あふれる筑豊の高校演劇の伝統は確実に受け継がれています。福岡地区でも、これまでプロの劇団の公演を中心に演劇以外にも多目的に利用されていたももちパレスが、高校演劇との連携強化をすすめています。将来、ももちパレスの舞台に立つ演劇人はもちろん、観客としてももちパレスに数多く足を運んでくれる演劇ファンを育成したいという思いからで、福岡地区としても県事務局としても大変歓迎しております。ももちパレスは今年度の県大会会場でもあり、こちらも最大限の支援体制で臨んでもらえるようなので、大変ありがたく思っています。また、ともに顧問審査制をとっている福岡地区・筑後地区では、審査員不足の打開策として相互に、あるいはその他の地区から顧問を招くという取り組みを始めたのですが、他地区の大会を見るということは審査員となった顧問にとっても学ぶことが多いようで、逆境をプラスに転じた取り組みであるといえます。あるいは、昨年度県大会において西日本短期大学附属高校が現役の野球部員を登場させ「本物」の迫力で客席に訴えたように、積極的に新しい試みにチャレンジすることが今我々に求められているのだと思います。

 高校教育をとりまく環境は、我々の力だけではどうしようもありませんが、地域を超え、様々な人たちと連携、交流を深めることによって光明は見出せるものだと思います。各地区の伝統と個性は守りつつ、交流し競い合うことで福岡県高校演劇を発展させることはできるでしょう。一人でも多くの高校生に演劇部に参加してもらい、一人でも多くの福岡県民に高校演劇をみてもらえることを願っています。

   (福岡県高文連    
演劇部門専門委員長)

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