大会審査結果
 第53回全国大会は、島根県松江市の島根県民会館で7月31日から8月2日にかけて開催されました。

 今年の大会から、全国大会に出場するのは12校となりました。かねてより検討されてきた、出場校枠の拡大について、ローテーションによってブロックから1校増やすことが実施されることになったからです。昨年の抽選の結果、そのローテーションは北海道ブロックからということになりました。

 もちろんこのことによって、大会運営は開催県にとっては新たな課題が生じたことになり、地元島根県の先生方、生徒のみなさん、さらには中国ブロックの先生方にも大変なご苦労をおかけすることになりました。

 しかし、大会運営に当たられたすべてのみなさんの、心のこもった取り組みで、とても素晴らしい大会になりました。閉会式で永嶋会長が「いい大会でしたね」とひと言おっしゃったことがすべてを物語っていたように思います。

 そして、その素晴らしい大会運営の中で、上演された12校の作品を、大会前日の審査員打ち合わせの段階から、熱心に議論を積み重ねられ、それぞれの演劇創造の現場、ご体験から、各作品への詳細な意見交換を連日行っていただいた7名の審査員の先生方による、審査会が、最終日に行われました。

 まず、最初にそれぞれの審査員の先生に、優秀と思われる学校を4校推薦していただきました。その結果が、別表です。

 全国大会の審査は必ずしも多数決をとっているわけではありません。あくまで審査員の議論によって審査を積み重ねていくというスタイルをとっています。ただ、この段階で多くの審査員の支持を得た学校を、その中でも特に優秀とすることについて異論は出ませんでしたので、まず3校を選考しました。

 ここで既成脚本の上演をどのように評価するのか、意見が出されました。定評のある既成脚本を上演した作品と、創作脚本の上演とではハンディがあるのではないかというものでした。この点については、様々に意見が出され、過去にもそのような既成脚本の上演のケースはあったが、それについて特段のハンディを与えることはしなかったことも指摘されました。

 むしろ、創作脚本の独創性や日常生活の中から生まれたことによる説得力の評価を支持する声が続きました。

 また、脚色作品だが、よく作品を研究してオリジナル作品の上演より時代の進んだ脚色を行っていることで高い完成度の舞台を評価するべきだとの意見も出されました。

 こうした議論を経て(もちろん、それまでにも詳細な意見交換が行われたことは前述の通りです)、最優秀に岐阜農林高校を選ぶことが決まりました。そして、優秀校に富士高校、栃木高校とすることが決まりました。

 もう1校の優秀校は、先ほどの推薦リストから、次点となっていた追手門学院大手前高校と作陽高校を対象に、あらためて意見交換を行うことにしました。

 ここでも創作脚本と既成脚本の上演評価が問われることになりました。そこでは、原作が取り上げようとしている問題の扱い方や、舞台の使い方などについて問題点が指摘された作陽高校に対して、表現の形態や躍動感、今の魅力を感じさせるオリジナリティを評価する声が追手門学院大手前高校に寄せられ、議論の結果、追手門学院大手前高校を優秀校に選出することに決まりました。

 創作脚本賞については高松工芸高校、岐阜農林高校の作品も支持する声がありましたが、三刀屋高校・亀尾佳宏先生の「笑い女」は、その作風が高校演劇の中では異種であり、甘美で冒険的で、魅力的な作品であることを評価して決定いたしました。

 舞台美術賞は一致して岐阜農林高校に決まりました。

 こうして審査会は終了したのですが、実は刻々と台風が接近していて、極力閉会式を早めに終了できるようにとお願いすることになり、最終日の午後の分科会のあとの講評では、せっかく懇切丁寧に審査をしていただいたのに、その結果を十分にお話ししていただくことができずに終わってしまいました。講評を楽しみに最後まで会場に残ってくださった多くの方々には、本当に申し訳ございませんでした。この点は事務局としましても残念でなりませんでしたが、実際、その夕刻から翌朝まで交通機関に大きな支障が出たように、結果を考えますと、いかんともしがたい事ではなかったかと思います。

 なお、すでに全国高演協のホームページでご覧になった方も多いと思いますが、生徒講評委員会の講評文が掲載されています。徐々に活動が定着しようとしている生徒講評委員の成果を是非ご覧いただきたいと思います。  (吉田)







 審査結果は以下の通り。

◆最優秀賞(文部科学大臣賞・

 全国高等学校演劇協議会会長賞)

☆岐阜県立岐阜農林高等学校

 岐阜農林高等学校演劇部作

  「躾 〜モウと暮らした50日〜」

◆優 秀 賞(文化庁長官賞・

 全国高等学校演劇協議会会長賞)

☆追手門学院大手前高等学校

 中條岳青作

 「あげとーふ」

☆静岡県立富士高等学校

 松田正隆作

 「紙屋悦子の青春」

☆栃木県立栃木高等学校

 山形県立山形南高等学校映画演劇研究部作、栃木高等学校演劇部潤色

 「塩原町長選挙」

◆優 良 賞

(全国高等学校演劇協議会会長賞)

☆北海道帯広柏葉高等学校

 北海道帯広柏葉高等学校演劇部作

 「ウエスト・サイズ・ストーリー」

☆香川県立高松工芸高等学校

 川田正明・宮井あずさ作

 「寂寞のせせらぎ」

☆北海道札幌平岸高等学校

 米永道裕作

 「屋根の裏のバイオリン弾き!」

☆静岡県立三島南高等学校

 安永真由子作、三島南高等学校演劇部潤色 

 「うおーっっ」

☆島根県立三刀屋高等学校

 亀尾佳宏作

 「笑い女」

☆大分県立日田三隈高等学校

 安部雅浩作、日田三隈高等学校演劇部潤色 

 「ラビットアイズ」

☆岡山県立作陽高等学校

 石原哲也作、二司元能潤色

 「シャドー・ボクシング」

☆福島県立小名浜高等学校

 北海道帯広柏葉高等学校演劇部作、福島県立小名浜高等学校演劇部潤色

 「七夕」

◆創作脚本賞

 「笑い女」の作者

☆亀尾 佳宏

◆舞台美術賞

☆岐阜県立岐阜農林高等学校

 岐阜農林高等学校演劇部作

  「躾 〜モウと暮らした50日〜」

以上

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