「演劇創造」 復刊第115号
平成21年(2009年)4月15日 |
■ 平成20年度ブロック代表校決定 | |
今年の夏、7月31日(金)から8月2日(日)にかけて開催される第55回全国高等学校演劇大会の出場校が決定しました。その出場校と上演作品については、一覧表をご覧下さい。昨年の秋から、今年の冬まで、全国各地でのブロック大会で熱演が繰り広げられ、その大会で見事、ブロックの代表に選出された代表校の皆さん、本当におめでとうございます。 今年の全国大会は、三重県四日市市文化会館にて開催されます。中部ブロックでの全国大会は、2003年の福井大会以来、6年ぶりの開催です。福井大会と言えば、生徒講評委員会活動が初めて試行された大会で、今はそのときの蓄積が広がり、毎年、充実した講評委員の活動が注目されるようになってきました。生徒講評委員会活動は中部日本ブロックの長年の取り組みの中から生まれたものですから、きっとまた大きな成果を上げてくれるものと期待されます。 そして、注目したいのは、その講評委員会活動をずっと指導されてきた川村信治先生が顧問をされている福井県勝山南高校が、今年は中部代表として出場されていることです。また、開催県代表の三重県立飯野高校樋口卓也先生も生徒講評委員の指導にあたっておられる先生です。講評委員会活動で作品に取り組む視点がどのように変化し、舞台にあらわれるのか、またその過程ではぐくまれてきたものは何なのか、この両校の作品からそれを学ぶことができるのではないでしょうか。 さらに話題になるのは、関東ブロック代表の千葉県立松戸馬橋高校と、神奈川県立大船高校です。大船高校は、昨年に引き続き2年連続のブロック代表です。上演作品は、昨年の「山姥」に続き、千葉県の土田峰人先生がかつて全国大会で上演された「じゃがいもかあさん」。大船高校バージョンがどのようなものか、楽しみです。そしてその土田先生は松戸馬橋高校を率いて、今年度は野田秀樹さんの「赤鬼」で全国大会に出場です。ちなみに関東ブロック大会では拓大一高が「山姥」を上演し、第3回の春季全国大会出場権を獲得しました(後の春季大会報告を参照してください)。ブロック大会の上位を土田先生作品で占めたという驚きの結果だったのです。 |
昨年度の最優秀校となった青森中央高校は、今年も畑澤聖悟先生の作品で出場します。北海道ブロック代表の帯広柏葉高校、関東ブロック代表校作新学院高校、四国ブロック代表校川之江高校など、全国大会ではおなじみの学校が今年は勢揃いの感があります。新しい作品でどのように新鮮な舞台を見せてくれるか、期待が高まります。 こうした出場校の中で、九州ブロック代表校となった鹿児島県立川内高校は、大久保寛先生の作品で出場されます。「はだしのにわとり」など高校演劇の名作とされる作品で何度も全国大会に出場されている大久保先生の新作を注目しないわけにはいきません。 今年の代表校はこうしてみてくると、本当に話題性に富んだ作品が目白押しだと言えます。この出場校のお世話をされる開催県三重県の先生方、生徒の皆さんのご苦労は本当に大変だと思います。全国総文も地方財政の悪化の影響下、運営自体が苦しくなっている状況ですが、それにもかかわらず前年度からきめ細かく準備していただいています。今はそうした開催県の先生方、生徒の皆さんのお気持ちが全国の皆さんに気持ちよく届けられることを祈るばかりです。 なお、前号の「演劇創造」で群馬大会の審査結果につき、誤りの記載がありました。この点、審査員の先生方をはじめ関係の皆様に多大なご迷惑をおかけしましたこと、心からお詫び申し上げます。この点につきまして、後掲の結果報告訂正とお詫びをご覧いただきますようお願い申し上げます。 (事務局長 吉田 美彦) |
第55回全国高等学校演劇大会(三重大会)出場校一覧
|
|||||
期日:2009年(平成21年)7月31日(金)〜8月2日(日) 会場:四日市市文化会館 〒510-0075 三重県四日市市安島二丁目5-3 |
|||||
北海道 | 北海道 | 帯広柏葉高校演劇部 作 | これからごはん | 顧問 生徒 創作 |
|
東 北 | 青 森 | 畑 澤 聖 悟 作 | ともことサマーキャンプ | 既成 | |
関 東 | 栃 木 | 大 垣 ヤスシと ゆかいな仲間たち 作 |
ピチカート! | 顧問 生徒 創作 |
|
関 東 | 群 馬 | 仲 谷 憲 作 | そばや | 生徒 創作 |
|
関 東 | 千 葉 | 野 田 秀 樹 作、 土 田 峰 人 構成 |
赤 鬼 | 既成 | |
関 東 | 神奈川 | アニータ・ローベル原作、今江祥智 訳より、 土 田 峰 人 作、 |
音楽劇 「アニータ・ローベルのじゃがいもかあさん」 | 既成 | |
中部日本 | 福 井 | 川 村 信 治 作 | 化石 〜あなたが思うよりも はるかに〜 | 顧問創作 | |
近 畿 | 兵 庫 | 加古川東高校演劇部 作 | お通夜 | 顧問 生徒 創作 |
|
中 国 | 岡 山 | 日 置 浩 輔 翻案 | ゴトーを待ちながら | 既成 | |
四 国 | 愛 媛 | 曽我部 マコト 作 | ふ号作戦 | 顧問 創作 |
|
九 州 | 鹿児島 | 大久保 寛 作 | 星空のソネット 〜お前は何を見つけたか〜 |
顧問 創作 |
|
開催県 | 三 重 | 中 根 正 俊 原案、 荒 木 智 子 作 |
部活戦グラデーション 〜Can you help me ? 〜 |
生徒 創作 |
■ 第三回 春季全国高等学校演劇研究大会(フェスティバル09) 実施報告 | |
「第三回春季全国高等学校演劇研究大会(フェスティバル09」が、三月二十七日(金)〜二十九日(日)に東京都港区の劇団四季自由劇場で開催された。 全国八ブロックから推薦された北海道北見北斗「HR」・宮城県第三女子「タマゴの勝利」・新島学園(群馬)「サボリバ」・拓殖大学第一(東京)「音楽劇・山姥」・愛知県立刈谷東「便所くん〜男だけの世界〜」・金蘭会(大阪)「小さい秋見つけた。」・島根県立三刀屋「みなそこへいけ」・徳島県立城西「すだちに優しく」・大分県立安心院「私のパパはモンスター」の九校の上演と、劇団四季の俳優・スタッフによるワークショップが行われた。ブロック大会で優秀な作品として選ばれたものだけに、バラエティーに富んだ優れた作品ばかりで、観に来てくださった方々や、取材してくれたマスコミ各社からも、大きな反響があった。 今大会からは、文化学院が協賛してくださることになり、さらには、日本工学院も別途協賛を考えてくださっているとのことである。協賛金については、これまで懸案となっていた上演校への賞状作成や生徒交流会の充実、大会プログラムの業者への発注、これまでほとんど手弁当で運営にあたってきたブロック事務局長や全国事務局員への旅費の補助等に支出する方向で検討している。 |
三回目を迎えた大会で、上演ごとの座席指定・完全入替え制と、メールによる申込み、打合せ・リハーサル・ゲネ・上演にいたる日程については、ほぼ定着してきている。上演校の生徒や顧問からは、本格的な演劇のための劇場で、ぜいたくに時間を使った打合せとリハのもとで上演できたことへの喜びの声もたくさんいただいた。昨年に比べて少なかった観客動員のための広報活動、運営に携わる生徒・教員の身分保障、生徒の交流の場の拡大等の他に、今回予定されていたが事情により実施できなかったテレビ放映についても、検討課題として残っている。 長年の念願であった、年度内における高演協独自の大会が、少しずつ形を整えてきた。この大会を支えてくださっている劇団四季スタッフのみなさんの熱意と愛情に深く感謝しつつ、次年度大会をより良いものにするために、ますますのご協力をお願いしたい。
(副事務局長 森本 繁樹) |
|
||||
地 区
|
県名
|
上 演 校
|
作 者 名
|
作 品
|
近 畿
|
大阪
|
金 蘭 会
|
亀山亜希子 ・杉浦 和世 野津 由貴 作、 山 本 篤 補作 |
小さい秋見つけた。 |
四 国
|
徳島
|
城 西
|
同 校 演 劇 部 作 | すだちに優しく |
九 州
|
大分
|
安 心 院
|
安 部 いさむ 作 | 私のパパはモンスター |
北関東
|
群馬
|
新島学園
|
大 嶋 昭 彦 作 | サボリバ |
東 北
|
宮城
|
第三女子
|
安 保 健 作 | タマゴの勝利 |
北海道
|
北海道
|
北見北斗
|
田 中 可 能 新 井 繁 作 |
H R |
南関東
|
東京
|
拓殖大学
第一 |
土 田 峰 人 作、 宮 川 知 久 潤色 |
音楽劇 山姥 |
中部日本
|
愛知
|
刈谷東
|
兵 藤 友 彦 作 | 便所くん 〜男だけの世界〜 |
中国
|
島根
|
三刀屋
|
亀 尾 佳 宏 作 | みなそこへいけ |
■ 事務局通信 | |
群馬大会も無事に終わり、そのまとめが一段落した昨年十二月に、十文字学園高等学校において第三回常任理事会が行われました。
* その中で、まず主に平成二十一年に行われる三重大会について、開催要項の確認を中心に報告、協議が行われました。 開催地(三重県実行委員会)と常任理事との間で、まず審査員、会場の座席配置、分科会設定についての確認がなされました。 分科会については、群馬大会では、急遽五分科会に生徒講評を加えたかたちになり、追加の参加希望調整が行われました。従来は四分科会に生徒講評という設定となっておりました。今後、審査員の専門分野によっては、基本線を崩さないまま設定数に変更が加わる可能性はあります。せっかくの研修の機会ですので、今後とも分科会の設定については積極的に検討してきたいと思います。 また、顧問審査員のバランスについて指摘がありました。ブロックのローテーションについては確認が取れていますが、多面的な視点からの審査という点から、今後は年齢構成などについても調整の余地があるのではないかと考えます。各ブロックからの選出に際して、お考えいただければ幸いです。 * |
三月に行われる「第三回春季高等学校演劇研究大会」について、早い段階で出場校、スケジュールなどについては全国高演協のHPに掲載させていただきました。運営についても、生徒主体で活動できる場を増やし、相互の交流が活発に行われれるようにしました。 四月の常任理事会、理事会で参加した方のご意見を伺いながら、さらに次年度の事業につなげていきたいと考えます。是非多くの方に参加いただきたいと思います。 * 八月の常任理事会、理事会で多くの質問が寄せられた「著作権」、特に音楽著作権の問題については、四月の出場校打ち合わせ及び理事会で、全国高演協としての一定のガイドラインをお示しします。ただ、この問題は知的財産をめぐる社会情勢の変化とも関係するものです。今後の対応についてはさらに研究していく必要があります。 また、大会の時に発行される『活動報告集』について、各都道府県からの収録データに若干の齟齬がみられる点について指摘がありました。全体を見通しての確認、校正は業務としては困難です。都道府県段階で、上演許諾の点とあわせてご確認いただければ、資料としての精度も上がります。ご多忙のところではありますが、ご協力をお願いいたします。 (事務局 三上 実) |