「演劇創造」 復刊第124号 平成24年(2012年)4月15日

平成23年度ブロック代表校決定

 第五十八回全国高等学校演劇大会の出場校打ち合わせと抽選会は、富山市の富山県民会館大ホールで四月七日、八日に行われました。

 開会にあたってあいさつされた宮田茂前全国高等学校演劇協議会会長は、出場校の皆さんの健闘をたたえる言葉を贈られましたが、その時に昨年の出場校打ち合わせのことに触れられました。

 「いつもなら四月最初の土日に会場に集まってすべての出場校が顔を合わせるのに、昨年はその打ち合わせすら行えませんでした。全国大会の開催そのものについて何も決まっていない、何も決められない状況でした。そこから福島大会(東日本大震災復興支援香川大会)として開催するまでの全国の高校演劇組織の迅速果敢な活動。夏には、綾歌総合文化会館に、すべてのブロック代表校が集結して全国大会を開催しました」

 短いこの言葉の中に、昨年一年を振り返る大きな思いがありました。そして、この一年の間に、全国の高校演劇は新しい大きな動きを創造していきました。

 震災の被災地はもちろん、遠く離れた地域においても、直接間接に震災を取り上げ、生きること、人を思うこと、絆を真正面から見つめようとする作品がたくさん作り上げられました。都道府県大会で上演されたそれらの舞台は、さらにブロック大会に至ってより高い質の作品群となって、全国各地の高校生と観客に、今演じることの意味を問い、訴える大会となりました。

 そのブロック代表十二校が今年は富山の地に集うのです。仙台市広瀬文化センターで開催された第六回春季全国高等学校演劇研究大会でも高い水準の舞台が続き、春季大会の存在感を大きく示したことは森本繁樹全国高演協副事務局長の報告にあります。いきおい、夏の全国大会の舞台にも期待が高まります。

 被災地を訪問しつつ公演を続けた青森中央高校、昨年の春季大会に参加したことによって震災を自分たちの問題として考えた岐阜農林高校。昨年の全国大会は一年生ばかりで出場し、その経験を生かして連続出場を果たした大谷高校。生徒創作、顧問創作合計十一本、既成脚本一本の全国大会です。

 開催県の富山県の先生方は何年も前から大会視察を繰り返され、念入りに準備を進めてこられました。その成果は、出場校抽選会の企画に現れていました。総合開会式の舞台に企画されている上演台本の一部が紹介されたのですが、越中富山の薬売りを素材にした抽選会は、楽しい雰囲気に包まれていました。緊張している出場校になごやかな雰囲気を自然に届けてくれた生徒実行委員の皆さんの心遣いにふれて、夏の大会が立派に運営されるであろう事を予感しました。

 全国高等学校演劇協議会は、宮田茂前都立千歳丘高校校長から日本橋女学館高校校長の揚村洋一郎先生を新たに会長にお迎えして新体制を築きます。今後、大きく世代交代が進んでいく全国事務局体制ですが、全国組織として全国各ブロックと連携をとった体制作りを今後も継続したいと思います。皆さんのご協力をいっそうお願いしたいと思います。

(事務局長 吉田 美彦

富山大会出場校一覧
第58回全国高等学校演劇大会・第58回全国高等学校演劇指導者講習会
 第36回全国高等学校総合文化祭演劇部門

 期日:2012年(平成24年)8月10日(金)〜12日(日)

会場:富山県民会館 〒930-0006 富山県富山市新総曲輪4-18

地 区
県  名
上演校
作  者  名
作  品  名
創作既
成の別
北海道
北海道
苫小牧南高等学校 乳井 有史 恐竜れたー
顧問創作
東北
青森県
青森中央高等学校 畑澤 聖悟 もしイタ〜
もし高校野球の女子マネージャーが青森の「イタコ」を呼んだら
顧問創作
関東〈北〉
栃木県
作新学院高等学校 高村 千怜
伊集院青空
It's a small world
生徒創作
関東〈南〉
神奈川県
大船高等学校 のまさとる 作
深沢七郎原作「楢山節考」
新釈姥捨山
顧問創作
関東
千葉県
八千代高等学校 タカハシナオコ 日の丸水産(HINOMARU FISHERY)
〜ヒミコ、日野家を語る〜
顧問創作
中部日本
岐阜県
岐阜農林高等学校 岐阜農林高校演劇部 掌(たなごころ)
〜あした卒業式〜
生徒創作
近畿
大阪府
大谷高等学校 前田 悠子 はみーご!
生徒創作
近畿
奈良県
法隆寺国際高等学校 原田 裕 森のひと
顧問創作
中国
島根県
三刀屋高等学校 亀尾 佳宏 ヤマタノオロチ外伝
顧問創作
四国
高知県
土佐高等学校 竹内 葵 化粧落し
生徒創作
九州
宮崎県
佐土原高等学校 泊 篤志 作
長尾直紀 潤色
あーさんと動物の話
既成
開催県
富山県
富山中部高等学校 宇津川ジン 我歴
生徒顧問創作


 

第58回全国高等学校演劇大会 入場申し込みについて
 第58回全国高等学校演劇大会(富山大会)の観劇を希望される方は、往復葉書でお申し込みください。お申し込みいただいた方に、整理券を発行いたします。(観客座席数の関係上、整理券発行数には限りがありますのでご了承ください。)なお、この入場申込み手続きは、見込まれる大会観客者数をあらかじめ把握し、大会運営に支障が出ないよう準備するためのものでもあります。趣旨をご理解の上、ご協力くださいますようお願いいたします。

申し込みについて

 往復葉書に下記の要領で、ご記入の上郵送してください。

※『往信』用の裏面に以下の項目をご記入ください。

1.観劇希望日と観劇枠

  ……大会日程表を参考に観劇希望日と時間帯を記載してください。

(例……8月10日午後、8月11日午前)

2.講習会参加希望分科会

  ……講習会は演劇部顧問と生徒が対象です。一般の方はご参加いただけません。

  分科会名を第二希望までご記入ください。ご記入のない場合は、「参加希望なし」と扱います。

3.お名前

4.年齢と学年(生徒のみ)

5.郵便番号(自宅)

6.ご住所(自宅)

7.電話番号(自宅)

8.学校名/勤務先名……在籍する学校名もしくは勤務先名をご記入ください。

9.顧問/生徒/一般 の別

※『返信』用の表面には、お申し込み者ご本人の住所・郵便番号を正しくご記入ください。無記載の場合には返信いたしませんので、あらかじめご了承ください。

※『返信』用の裏面にはご案内文を記載しますので、白紙(何も記入しない)でお願いいたします。

※保護者・学校関係者等の入場も往復葉書での申し込みが必要です。

※往復葉書一枚につきお申し込み者一名です。

講習会について

 今大会は下記の講習会(分科会)を予定しております。講師等の都合により変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。その際は大会会期中の会場案内掲示をもってご連絡いたします。

− 分科会予定 −


第1分科会:舞台美術

   (講師:土屋茂昭氏)

第2分科会:

  テレビと高校演劇

   (講師:村瀬 洪氏)

第3分科会:劇 評

   (講師:西堂行人氏)

第4分科会:部活動

   (講師:中村 勉氏

      阪本龍夫氏

      段正一郎氏)

第5分科会:

 生徒講評委員会合評会

※変更が生じた場合には、全国高演協ホームページに掲載いたします。


申し込み期限

※平成24年6月15日(金)
  〜 6月30日(土)必着

(申し込み期限後の到着は無効とさせていただきます)

お申し込み先
 お問い合せ先

〒931-8502
富山県富山市下飯野荒田6-1

富山県立富山東高等学校内

 全国大会観劇申込み事務局

  杉山 紀子

TEL  076-437-8051

申込記入見本
返信表面

《返信宛先》

往信裏面
往信表面

申込先

返信裏面
(返信先郵便番号)

 (お申し込み者

ご本人の)


住 所


氏   名

1.観劇希望日と観劇枠

 (時間帯/午前・午後)

2.講習会参加希望分科会

 (一般の方の参加は
  できません)

3.お名前

4.年齢と学年(生徒のみ)

5.郵便番号(自宅)

6.ご 住 所(自宅)

7.電話番号(自宅)

8.学校名/勤務先名

9.顧問/生徒/一般の別

931-8502

富山県富山市下飯野荒田6-1

富山県立富山東高等学校内

 全国大会観劇申込み事務局

   杉 山 紀 子  宛

白  紙

 

(何も記入しないでください)


第六回 春季全国高等学校演劇研究大会
(フェスティバル2012震災復興宮城大会) 実施報告
 第六回春季全国高等学校演劇研究大会 〜震災復興宮城大会〜 について東日本大震災により、会場として予定していた広瀬文化センターも被害を受け、復興費用の捻出等でこの時期における大会開催は無理ではないかと、各方面からご心配いただきましたが、仙台市文化スポーツ部文化振興課の「こういう厳しい時であっても、全国から高校生が集まる演劇大会を実施しなければならない」という強い御意思により、会場の改修や大会開催に係る費用等が市議会で優先的に認められ、(財)仙台市市民文化事業団・せんだい演劇工房10-BOXのご協力のもと、宮城県高等学校演劇協議会の先生方を中心に、季節外れの雪は降りましたが、無事に大会を開催することができました。

 例年、大会運営の大きな力になっていただいている各ブロック事務局長はもとより、次年度開催予定の福島県、次次年度開催予定の岩手県の先生方にも大会運営にご尽力いただき、舞台スタッフの方たちも経験豊かで心から高校演劇を応援してくださり、上演校のマナーもとても良く、とても気持ちの良い素晴らしい大会になりました。

 上演された作品の多くが、震災の影響を感じさせるものであり、そこに希望や友情を通した未来への思いが込められており、「絆」を感じさせるものでした。また、上演校の一部が被災地を実際に訪れる機会を持ったり、宮城県の先生方により、会場2階のスペースで被災地の写真を展示していただいたりしたことは、震災復興大会としての意義を高めたものであったと思います。

 今大会を運営してくださった宮城県の先生方のお力で、事前にカラーのチラシを作成していただくことができ、プログラムもオールカラーとなり、これまでの春季大会の歩みも掲載することができて、大変充実したものとなりました。

 来年度の第七回大会は福島県いわき市、第八回大会は岩手県北上市での開催を予定して準備を進めております。今大会に熱い思いでお力添えいただいたすべてのみな様に深く感謝するとともに、この大会がより充実したものになるよう、協議会一同努力を続けてまいりたいと思います。

 (副事務局長 森本 繁樹

2010年(平成22年)3月14日(日)〜3月16日(火) 於:倉敷市芸文館
地 区
県名
上 演 校
作  品  名
作 者 名
九州 沖縄 昭和薬科大附
高等学校
オフライン 島仲こすも 作
関東南 静岡 小笠
高等学校
シェルター 大庭 久幸 作
同校演劇部 潤色
中部 愛知 豊川
高等学校
ちいさいタネ 黒瀬 貴之 作
同校演劇部 潤色
四国 高知 高知追手前
高等学校
見よ、飛行機の高く飛べるを 永 井  愛 作
雨宮いほ乃 潤色
東北 岩手 福岡
高等学校
福高創立110周年記念作品
田頭諒という男
福高演劇部
Featuring DJ Ryo 作
中国 島根 安来
高等学校
修学旅行 畑澤 聖悟 作
関東北 埼玉 秩父農工科学
高等学校
青春リアル コイケユタカ 作
近畿 兵庫 伊丹西
高等学校
渦中の私 宮崎真生子 作
五ノ井幹也 潤色
北海道 北海道 北見北斗
高等学校
いただきますと言ってくれ 同校演劇部
+ 新井 繁 作
開催地 宮城 宮城広瀬
高等学校
竹内  透 作
杉内 浩幸 潤色

第七回 春季 全国高等学校演劇研究大会予定

2013年(平成25年) 3月22日(金)〜24日(日)

於:いわき芸術文化交流館


 

事務局通信
 例年になく寒さが厳しく、桜の開花が大幅に遅れた四月、今年度第一回常任理事会、理事会が、まだあちらこちらに雪が残る富山で行われました。


 まず、新年度の事務局人事について、宮田会長の退職に伴い、揚村洋一郎会長(日本橋女学館中・高等学校長)の就任が承認されました。吉田事務局長以下事務局員についても承認されました。

 続けて、富山大会関係の報告が行われました。大会会場の設備割り当ての一部変更等若干の修正がありましたが、概ね前回の理事会報告の内容に沿って大会運営が行われます。

 規約関係では、「ブロック別ローテーションの細則への明記」「生徒講評委員会の細則への明記」が提案されました。いずれも全国大会の運営実態に合わせて、位置づけを明確にするためです。文言の細部を検討の上、理事会承認を経て「全国高演協名簿(巻末)」等へ掲載いたします。

 また、従来事務局の業務の中に組み込まれていた調査研究活動として、今年度から「演劇教育」の現状について、全国事務局として取り組むことになりました。近年、コミュニケーション能力の育成が教育の場でも求められてきています。人間関係の構築、豊かな感情表現力の育成を図るためには、さまざまな角度からの検証と取組の成果の共有が必須です。そのため、今回、表現教育全体に対する研究を目的とし、今後の演劇教育の発展に資する取組とします。以前、全国大会の中でも、神奈川大会の時に分科会として設定し、神奈川県で演劇教育に取り組んでいる教員を中心に、全国大会に参加した人々と研究協議を行った実績があります。  

 各地で行われている実践の積み重ねもふまえて、全国大会の期間中に集まる機会を設けたいと考えます。今回、理事会の承認を経て、プロジェクトチームを発足させます。今後の具体的な動きについては、大会が始まるまでにある程度のお知らせができるかと思います。軌道に乗せるまでにはクリアすべき課題も多いですが、ぜひご意見をいただき、有意義なものにしていきたいと考えます。 

 第六回春季高等学校演劇研究大会については、仙台市広瀬文化センターで開催されました。ホールの全面的な協力の下、「震災復興」に向けた一つの励みとして、成功のうちに終わりました。上演校のレベルも高く、運営のスムーズに行われました。生徒交流会も、上演校の地域のカラーが出て好評でした。演劇は上演するだけでなく、それを支える多くの人の力があってこそ、ということを改めて感じました。

 今年度(第七回)は福島県・いわき市で行われます。また、次年度は岩手県北上市での開催です。いずれも、開催県のみならずホール、地元の方の協力を得ての大会になります。是非多くの人に足を運んでいただき、大会を盛り上げていきたいものです。なお、第七回の大会要項から、「地域に根ざした文化に触れることにより、参加者の文化・芸術に対する思いをより深めることを目指す」という文言を加えます。独自大会実施という当初の目的は浸透したと考え、大会の趣旨に沿ったかたちになります。

 その他、日本芸術文化振興会助成等の予算関係、高文連の公益社団法人化に伴う各種変更についても確認が行われました。


 次年度の長崎大会についても、準備が本格的になりつつあるという報告がありましたが、スタッフの数が、教員、生徒とも圧倒的に少ない状況の中、厳しい運営を迫られています。昨年度の香川(福島)大会の時に、多くの先生方のご協力をいただき、大会が無事成功した経緯があります。是非、九州ブロックのみならず多くの方のご助力をお願いいたします。

(事務局 三上  実

↑上へ