復刊95号  WEB版


潮風にのり かもめよはばたけ 創造の 翼拡げて
   全高総文祭二〇〇二 神奈川大会へ ようこそ   松田由紀子

 今年度の第二十六回全国高等学校総合文化祭は、標記の大会テーマのもとに、八月七日から十一日まで神奈川県内十三市町村で開催されます。参加十八部門と協賛部門八部門の計二十六部門が各地で日頃の成果 を競い、相互交流を図ることになっています。
 そして、演劇部門は、第四十八回全国高等学校演劇大会として、県中央部に位置する相模原市において、九日から十一日まで開催されます。神奈川県内の高校演劇関係者を代表し、開催をお知らせするとともに皆様のご参加・ご来場を心からお願い申し上げる次第です。
 文化庁、社団法人全国高等学校文化連盟、全国高等学校演劇協議会をはじめ、全国の高等学校演劇関係の皆様には、開催にいたるこれまでのご指導、ご尽力に対し、心からお礼申し上げます。
 初日の七日は、横浜市中心部の「みなとみらい21地区」にあるパシフィコ横浜国立大ホールにおいて、総合開会式が行われます。「港・未来・21世紀」という地区の名称は期せずしてこの大会の精神をそのまま体現しているかのようです。二十一世紀に活躍する高校生、そして、県境、国境を越えて協力関係を築いていく二十一世紀という時代、これらは、国際県神奈川が掲げている今大会のテーマそのものです。開催行事として、開催でつながる福岡・神奈川・福井の三県の高校生や、中国、韓国、米国、次回開催の福井県の招請によるインドネシアの高校生の発表もあります。
 第四十八回全国高等学校演劇大会は、北海道・東北・関東・中部日本・四国・九州の各ブロック大会で、優秀な成績を収めた学校計十一校が、日頃の活動の成果 を競います。会場となるグリーンホール相模大野は、開発整備が急速に進む相模原市の中でも中核的な町にあり、小田急線相模大野駅からも至近であり、しかも、演劇上演のホールとして理想的な条件を備えています。こうした場所で、全国の皆様をお迎えできることを、運営担当者として大変嬉しく感じています。
 神奈川県および、相模原市の支援のもと、現在、地域関係の皆様の協力をえて、全国の演劇に励む高校生の皆さんを歓迎すべく、あれこれ準備に取り組んでいるところです。昨年度、二十一世紀の幕開けとなった福岡県大会では、全国の出場校の皆さんの熱演が、大きな感動を生み、高校生が持つ芸術・文化を創造する力の大きさが改めて証明され、本演劇大会が、全国高等学校総合文化祭の秀眉として、多くの称賛を得たことを承知しています。そうした成功を、受け継ぎ、新しい時代の息吹を常に取り入れてきた神奈川らしさを添えて、二十一世紀の担い手である皆さんにふさわしい舞台を用意していきたいと念願しています。どうか、大会期間中、皆さんの持てる力を存分に発揮して、悔いのない、そして、熱い舞台を創造していただくよう期待しています。
 神奈川県高文連演劇専門部加盟の高等学校数は、現在百三十校余りです。かつては、百七十校を越える加盟数でしたが、少子化の影響で、減少に転じています。しかし、生徒や顧問の演劇に懸ける情熱は、以前と変わらぬ 熱いものがあります。高校卒業後の進路として演劇を志望する人や、実際、演劇関係の各方面 で、プロとして活躍する神奈川高校演劇出身者も、数多くいます。
 「生きる力」「新たな学力」につながる表現教育の重要性についての認識も深まり、一つの動きになってきています。
 不登校や引きこもりに限らず、子供たちを取り巻く人間関係の希薄さは、多くの問題の根源ともいえる大きな課題となっています。言語や身体を手段として、視覚、聴覚など全てに訴える総合的な表現活動である演劇は、子供たちに自己表現のみちを与え、人間関係能力を築く方途になりうるのではないかという目論見を、演劇活動を日常としてきた顧問たちが抱いたからです。
 実際に、横浜市高等学校演劇連盟では、数年前から「表現教育ワークショップ」の取組を始めて、学校教育における「総合的な学習」への導入も視野に、回を重ねています。県立神奈川総合高校や県立大師高校など、授業での導入も始まっており、今後ますます広がっていくことが、予想されます。こうした高校演劇活動の新たな展開を視座に、今回の大会の成功を心から念願しています。
 どうか全国の高校生の皆さん、ご関係の皆様、ぜひ、「第四十八回全国高等学校演劇大会」神奈川大会を盛り上げていただきますようお願い申し上げます。そして、神奈川大会に出場される皆さんにとって、そこで出会う全てのものが、新たな世紀の糧となりますよう心から念じています。
 最後に、関係各位の皆様方の、一層のご指導、ご援助をお願い申し上げます。 (神奈川県高文連演劇部会長)

照手姫の里へ ようこそ   原  淳 一

 相模原と聞いて、すぐ場所を思い浮かべることのできる方はどれほどいらっしゃることでしょう。神奈川県だとは想像がつくでしょうが…。ミシマサイコという薬草が多く採れ、都への献上品であったことから柴胡が原(さいこがはら)と呼ばれたことや小栗判官との悲恋で物語にもなっている照手姫などでご存じの方もあるかもしれませんが、若者向けのネタとなると取り柄を探すのが難しいでしょうか。東京のベットタウンとして人口だけは県内第三位 を誇りますが、文化面の充実となるとまだまだというのが本当のところです。
 ともあれ、そんな相模原の地で高校演劇の祭典、第二十六回全国高等学校総合文化祭演劇部門・第四十八回全国高等学校演劇大会及び指導者講習会を開催できることは大変名誉なことです。
 今大会は八月九日(金)〜十一日(日)にグリーンホール相模大野で開催されます。久しぶりの首都圏開催と言うことで、既に収容人員を越える数の整理券のお申し込みがあり、嬉しい悲鳴をあげています。新宿からも四十分ほどという近さ(?)からでしょうか、多くの皆様にお越しいただけることは喜ばしいことだと思っています。
 ですが、これほど多くの皆さまに気持ちよくご覧いただけるように準備ができるかどうか一抹の不安を抱えているところです。昨年の1月にこのホールで南関東大会をプレ全国大会として開催いたしましたが、観客数はそれを大きく上回ることになるでしょうから、心して準備をしようと思っているところです。また、グリーンホール相模原の職員の方々はもとより、相模原市や相模原教育委員会、近隣の大学・百貨店・商店会の皆様方に多くのご理解とご協力をいただけたことは本当にありがたいことだと思っております。地域に密着した大会になってくれることを願っています。
 生徒実行委員会の生徒たちも、準備に余念がありません。実行委員長の米田まどかを中心として、多くの生徒たちが準備を重ねてきました。と、申しますのも、一昨年の浜松大会、昨年の福岡大会を視察してきた生徒たちが「私たちもあんなふうに暖かく皆さんを!」という思いを抱いて帰ってきたからに他ならないからです。出場校 のみなさんとの交流も大事にしたいと、怪しげな(?)劇の稽古中です。
 まだまだ不況の底から這い出せないでいる日本ですが、せめて全国から集まる十一の代表校の熱気あふれる舞台と、観客の皆様、そして我々運営側のスタッフと地域が一体となって、この大会が盛大に開催されることを心から願っています。近くには港町ヨコハマや歴史と伝統の町鎌倉もあることですから、ぜひ観光がてら相模原までお越し下さい。もちろん相模原にも勝坂遺跡や照手姫ゆかりの地、横山丘陵緑地など見どころもたくさんありますから。
 サッカーのワールドカップは盛況のうちに神奈川の地で閉幕しました。次は高校演劇の番です! 高校演劇に関わる多くの皆様のお越しにより、大いに盛り上げていただきたいと願っております。 (神奈川県高文連演劇専門部  第四十八回全国大会 実行委員長)