復刊95号  WEB版


都道府県だより 宮城県の高校演劇    この一年 大石 和彦

1.「成果と課題」  後述も致しますが、何と言っても東北大会を成功の内に終えることが出来たことが、本年度第一の成果 でありましょう。私達が、過去2回の宮城大会から引き継いだ最大の課題は、「定時上演」の実現と「大会黒字運営」の実現の2点でありました。
 「定時上演」については、3年程前から、先進県の視察等を含め、舞台運営とその任務分担を総点検し、県大会や地区大会でそれを試行する等々、本県協議会として相当の時間と精力を注いできました。その結果 、顧問団の熱意と献身的な努力のおかげで、これらの実現が図られたことは疑いがありません。誠に頭の下がる思いであります。
 また、「大会黒字運営」の課題についても、現下不況の折り、その実現は大いに懸念されておりましたが、会長はじめ大会事務局及び各地区事務局の奮励により、最終的に赤字にならずに運営が図られました。誠に喜ばしい限りです。  そして、これは大会事務局の働きに拠る所が大なのですが、観客動員数に置いても、ほぼ全上演が満席に近い状態での大会でした。
 6年に1回の大会の成功が、全顧問団の一致協力によって果たされたことは、誠に感慨深いものがあります。先生方及び生徒諸君にこの紙面 を借りてあらためて深甚の謝意を表明したいと思います。
 そしてまた、「課題」もあるように思います。確かに宮城県古川女子高校の全国大会出場の偉業を初めとして、近年は創作意欲が高まり、各大会のほとんどを創作作品が占めるようになりました。そのこと自体は大変結構なことで、推奨すべき事でもあるのですが、それとは裏腹に、演技の基本とでもいうべき点が、少々軽んじられているように思うのです。
 例えば、台詞と身体がバラバラな台詞回し、説明的に過ぎる物言い、まるで精神分裂症を想起させてしまいそうな一貫性のない話し方、そして相手役の不在を感じさせてしまうような台詞のやり取り等々、問題は多いように思います。  尚、今年7月のリーダー研修会は、演技の基礎訓練をテーマに実施する予定です。

2.大会各種
  地区大会(登録総数 54校中県内6地区合計 参加47校)
  第三十九回県中央大会 十一月下旬、仙台市青年文化センター。6地区代表各2校が出場。
 最優秀賞は名取北高、優秀賞一席は宮城広瀬高、優秀賞二席は利府高が、それぞれ受賞しました。 東北大会を睨んだ大会運営がなされました。また、生徒審査員制度はしっかりとその定着を見たようです。 B 第三十四回東北大会(12/22〜23多賀城市文化センター各県代表計12校)
 「定時上演」、「黒字運営」「観客動員」の3点について、顧問団の積極的かつ献身的な努力により、期待される最大の成果 を上げることができました。今大会での運営方法が、次年度以降の諸大会に生かされることが望まれます。

3.研修会各種(全県的事業)
  第十一回総合演劇研修会(仙台市青年文化センター7/26〜28) のべ950名の参加申し込みがあり、九割以上の生徒が意義深かったと感想を記しています。
  第十三回演劇リーダー研修会(パイラ松島7/23〜24) 24校74名の参加を見、概ね良好な反響が得られました。
  第三回審査員研修会(教員対象…仙台市戦災復興記念館7/14)  仙台市戦災復興記念展参加上演校の一つであるウルスラ学院高の上演を観劇し、その討議が行われました。参加7名。「審査講評」における教育的配慮の徹底が確認されました。
  二回舞台技術研修会(教員対象:仙台市広瀬文化センター8/1)  教員14名の参加あり、(株)東北共立の照明家から照明技術の実際的技術の研修を受けました。 (宮城県高演協 前事務局長)