復刊97号  WEB版


都道府県だより

わたし的 高校演劇十一年  ― 中部大会開催への八年間 ― 宮上 一樹

 第55回中部日本高等学校演劇大会(石川大会)は、前回の第48回中部大会から7年目ぶりの開催であった。
 他県顧問の的確な一言を紹介しよう。
 「運営顧問のメンバーは、さほどかわり映えしないですね?」大会が終了してから聞き「なるほど…」と我ながら驚いた。
 こんなことは、内密にしてしまえばと思うのだが、石川県だけのことなのだろうか。  他の県も同じ悩みがあるのではなかろうか。重い課題である。
 第55回中部大会開催には、幾多の困難を乗り越えなければならなかった。
 中部ブロックの演劇部顧問は、<開催地の中島町と能登演劇堂が能登半島のどこに位置するかを全員知っている> 『無名塾主宰《仲代達矢氏》監修の演劇専用のホール』 『無名塾ロングラン公演2回開催の舞台』 『毎年夏に開催される中部日本高演連と中島町が主催する演劇ワークショップの開催場所』として知られているはずと、私は理解していたのである。
 だが、しかし「能登演劇堂って随分と遠いところにあるのだな」の一言に、私の考えが間違いであると気付くのに時間はいらなかった。
 誰かが先頭を切って言い出し、一歩一歩進まなければならなかった8年間だった。
 演劇専用ホールの舞台に立ち、『もっと演劇を楽しみたい』『夢を叶えたい』とかたく誓う生徒がいる。
 『とても素敵じゃない』とわたし的に考えた。
 やるしかなかった。そして、勢いよく走ってきた。でも、演劇部の役員を長く続けることは、精神的にも肉体的にも大変である。そして、多忙である。
 もうこの辺りが潮時。ザザーと潮が引いた砂浜のように、すっきりとしていたい。
 交替時期を間違えた場合、回りの方々に迷惑をかけるばかりか、本人にとっても窮屈となり、身の置き場に困ることになる。
 私自身の問題でもあった。
 さて、石川県高校演劇の取組の中で『劇団週末くらぶ』について紹介しておきたい。  劇団週末くらぶは、石川県高文連演劇部合同公演として活動し、今年で第14回目となった。
 平成2年3月から始めて13年間継続している。 《現在演劇部顧問として劇団週末くらぶの指導をしている者》 《東京で劇団を作った者》 《海外で演劇研修している者》 《金沢で演劇に関わっている者》
 今も演劇の世界にこだわりを持ち続け、活躍している卒業生たちが数多くいる。
 『第14回劇団週末くらぶ』の公演作品は、私立追手門学院高等学校演劇部顧問《阪本龍夫先生》の「シャウト! 〜僕が僕であるために」を上演した。
 高校演劇部12校33名の参加で、平成14年12月16日(木)の初顔合わせから、平成15年3月27日(木)のゲネプロまで、土・日・祝日を中心に稽古して作り上げた。
 4回のステージで7百人余りの観客に支えられた舞台となった。
 作者の阪本先生は、3月30日(日)の千秋楽に大阪から見にこられ、参加生徒たちは、最終の舞台の緊張と重なったが、素晴らしい舞台を作り上げた。 (石川県高文連盟演劇部 前副部長)