復刊99号 福井(鯖江)大会特集号  WEB版


事務局通信
 台風の襲来で予定通りの実施が危惧された福井大会でしたが、大きな支障もなく無事に終了することができました。福井県のスタッフの方々のご苦労に頭の下がる思いです。
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八月の理事会をふまえて、一二月に東京で行われた第3回常任理事会において、次の点について話し合いが進められました。いずれも、長い時間をかけて検討されたものや、福井大会をふまえて今後より一層の議論が期待されるものです。
まず、全国大会上演校を増やす点については、各ブロックから概ね了解の意見が示されました。また、ローテーションを組むという原案については、「持ち回りに賛成」が大勢でしたが、一部「全国大会最優秀校出場ブロックから」などの意見が出されました。ただ、方向性としては「増」で一致しました。ただし、時期的な問題については、早期にという意向はあるものの、大会要項の作成、行政とのヒアリングの時期などから、どの大会からというのは明確には示しにくい要素があります。各開催地・ブロックでの対応を見ながら判断されることになります。
 次に、福井大会で試行的に導入された「生徒講評委員会」については、福井県から総括の冊子が出され、その中で実施してみての問題点、今後への課題などが、教員スタッフ、参加生徒の両方の立場から分析、提示されており、示唆に富んだものがあります。今後の大会への導入は、今回の総括を十分に行った上で判断する必要があるとの認識で一致し、さらに検討を重ねていくことになります。参加した生徒から、「視野が広がった」「参加してよかった」などの肯定的な意見が多かったことは、今回の試行の中で評価される点ではないかと思います。
次年度の徳島大会が、五〇回の記念大会になることについては、記念CDーROMの作成、配布などが予定されています。現在鋭意作成中ですが、資料としての価値も高いものになる予定です。ご期待下さい。
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その他、1、文部科学大臣奨励賞が次年度についても継続して授与されることになったこと、2、統廃合対象校についての複数校合同公演(出場)について本格的に議論を進めること、3、全国大会における賞について分野(演出、美術など)を広げて奨励していく方向での検討を進めることなどが議事の中で示されました。
各都道府県において行われている様々な取り組みについても「活動報告集」などの媒体を使って紹介しあいながら、演劇活動全体の活性化につなげていきたいものです。(事務局・三上  実)

訃 報
 本会顧問・佐伯俊介(佐々俊之)先生が平成16年1月にご逝去になりました。佐伯俊介先生は、本会事務局長として全国高校演劇の組織化にご尽力されるとともに、東京都高等学校演劇研究会長としてもご活躍になり、まさに高校演劇とともに人生を歩まれました。 また、みなさまご存じの通り、「佐々俊之」のペンネームで創作活動にも意欲的に取り組まれ、数々の珠玉の作品を生んだ劇作家としても著名な方でありました。
 先生の代表作である「ジーパンを穿いたジャンヌ」はもとより、「食欲のないおはなし」「いつか来た道」「人家には、はや電灯がともり」などは高校生のために書かれた戯曲で、今日でも多くの学校で上演されています。
 謹んで心から先生のご冥福をお祈りいたします。

天井桟敷
 著作権担当として全国高演協事務局にかかわるようになってから、大きな著作権問題が数度起きてしまいましたが、最近の全国大会では、出場校顧問の先生方の御協力のおかげで問題も少なくなってきました。ずいぶんと細かい点まで御協力頂いており、感謝しています。
 本来、高校演劇は営利を目的とした活動でなく、ほとんどのケースで許可がおりるというのが、ここ数年この仕事にたずさわっての感想です。きちんと連絡をとれば、テレビ局であれ、出版社であれ、NASA(アメリカ航空宇宙局)であれ、高校生の活動に関しては寛容です。
 事前に声をかけ、許諾を得ることが普通に行われるようになれば、著作権に関するトラブルは大きく減ると思います。50周年の節目を迎えようとしている現在、著作権という比較的新しい考え方が高校演劇界にしっかり定着してくれることを願っています。
 今後とも御協力よろしくお願い致します。 (著作権担当 林 尚生)

お知らせ
 第49回福井大会期間中に顧問総会が開かれ、左記の表の通り、全国演劇協議会の決算・予算が承認されました。
 毎年、日本工学院から三百万円の支援金をいただいて活動資金としていることは皆さんご承知の通りです。その用途は、事務局支援費(本会計収入に計上)のほかにブロック大会開催に関わる費用や全国大会支援費などとなっています。
 このような形で、私たち協議会の活動を陰で支えてくださっている日本工学院、NHK、桜美林大学へ感謝申し上げます。
 事務局では、全国高演協発足から50年を記念する出版物として、その歴史をおさめたCD―ROMを作成しています。「高校演劇第50回大会記念のCD―ROMがまもなく完成!」(P・6)の特集記事でもその内容の一部をお伝えできたかと思いますが、内容豊富で、見て楽しい構成に仕上がりつつあります。これを手にする皆さんにはきっと満足していただけるのではないかと思います。
 収録内容は、歴代会長・事務局長による挨拶、高校演劇に深い関わりのあるプロの演劇人による祝辞、「演劇創造」に広告を出してくださっている会社のお役立ちサイトなど、バラエティ豊かです。特に、本会の機関誌「演劇創造」が記念すべき第百号を迎えることもあって、このCD―ROMにはこれまで発刊された「演劇創造」のすべてを収録しました。どうかご期待ください。

特集高校演劇第50回大会記念のCD-ROMがまもなく完成!
 2004年の全国大会は、高校演劇の歴史の中で重要な1ページを飾ることになるだろう。全国高演協は発足50年を迎える。これまでの歩みをふりかえり、これからの高校演劇を展望する大切な意味をもつ大会となる。
 事務局は、本誌「演劇創造」発行でもたいへんお世話になっているオフィス・ナリタのご協力のもとに、いまCD―ROMを作成している。全国高演協の歴史を1枚のCD―ROMにおさめようという企画である。これまで高校演劇はどのように創られてきたのか、どのような作品が上演されたか、など「盛りだくさんの内容で、見て楽しく役に立つ」ことがこのCD―ROMの基本コンセプトと言えよう。
 中でも、下の写真抜粋でもおわかりのように、このたびオフィス・ナリタの全面的なご協力を得て発刊時から現在に至るまでの百号に及ぶ「演劇創造」をこのCD―ROMに収録している。貴重な記録なので、散逸する前にこのような形で集めておくことができたのはきわめて幸運だったと言えよう。    (藤原)

 

お わ び
 今号で掲載する予定だった平田オリザ先生の講評は、先生のご都合により次回(第100号)まで延期することになりました。読者のみなさまにおわびいたします。 (藤原)